
奈良公園の鹿が関係した外傷症例49例の検討:記述疫学研究(Deer–related 49 trauma cases around Nara Park: descriptive epidemiological study)
Author(s) -
Ryosuke Kawaguchi 川口 竜助,
Takeshi Ando 安藤 剛,
Yasunobu Goto 後藤 安宣
Publication year - 2021
Publication title -
nihon kyukyu igakukai zasshi: journal of japanese association for acute medicine
Language(s) - Uncategorized
Resource type - Journals
ISSN - 1883-3772
DOI - 10.1002/jja2.12630
Subject(s) - medicine , epidemiology , veterinary medicine , demography , sociology
要旨 2014年1月1日2018年12月31日の5年間に奈良公園およびその周辺に生息するニホンジカ以下「奈良のシカ」が関係した外傷による当院への救急搬送症例の特徴を記述疫学的に検討した。計49例の搬送があり男性18名女性31名で5年間で3.6倍に増加していた。平均年齢は男性15.3±23.3歳女性35.1±25.1歳と差を認めており男性は5歳以下が67%を占め成人男性の搬送は少なかった。奈良市の居住者よりも旅行者が86%と圧倒的に多かった。打撲傷が80%を占めていたが不安定型骨盤骨折などの入院を要する症例も含まれていた。受傷機転は角や体当たりによる外傷が59%咬傷が4%鹿との接触がなく鹿の接近を契機に人が転倒するなどして受傷した症例が31%車両乗車中の鹿に関係した交通事故が6%であった。救急搬送された「奈良のシカ」による人への外傷症例の特徴として犬外傷と同様に男児の受傷が多い傾向があるが比較して咬傷は少なく直接鹿との接触がないのに外傷を負う受傷形態があることが明らかになった。