
トリカブト中毒に対し血液吸着(direct hemoperfusion: DHP)が有効であった1例(A case of aconite poisoning treated with direct hemoperfusion (DHP))
Author(s) -
Takayuki Irahara 苛原 隆之,
Hisatake Mori 森 久剛,
Dai Oishi 大石 大,
Tadashi Ogawa 小川 匡之,
Takahiro Kato 加藤 隆寛,
Masanobu Tsuda 津田 雅庸,
Naoshi Takeyama 武山 直志
Publication year - 2021
Publication title -
nihon kyukyu igakukai zasshi: journal of japanese association for acute medicine
Language(s) - Uncategorized
Resource type - Journals
ISSN - 1883-3772
DOI - 10.1002/jja2.12624
Subject(s) - hemoperfusion , medicine , anesthesia , surgery , hemodialysis
要旨 トリカブト中毒は比較的稀な自然毒中毒であり難治性不整脈を呈し重症化するリスクも高い。しかし特異的な治療はなく対症療法や呼吸循環管理が主とされ血液浄化療法の効果も明らかではない。今回我々はトリカブト中毒に対し血液吸着direct hemoperfusion: DHPが有効であったと思われる1例を経験したので報告する。症例は80歳の男性。自殺目的に自身で調合したトリカブト粉末を服用し不整脈心室頻拍と意識障害を来して前医救急搬送され専門的治療目的に当院転送となった。来院時は多源性の心室性期外収縮premature ventricular contraction: PVCが頻発し血行動態不安定であり人工呼吸管理下にアミオダロン持続投与を開始しつつDHPを行った。その結果PVCは徐々に減少しDHP終了時には洞調律に安定血行動態も回復した。トリカブトの主成分であるアコニチンメサコニチンヒパコニチンの血中濃度は来院時それぞれ3.95ng/mL5.22ng/mL1.42ng/mLであったがDHP終了時には0.29ng/mL0.86ng/mL0.28ng/mLと著明に低下しておりDHPの効果と考えられた。第2病日に抜管し以降安定して経過。精神科の介入を経て第13病日退院となった。トリカブト中毒に対するDHPにより臨床症状の改善と良好な転帰を得られ積極的に施行を考慮すべきと思われる。