
外科的介入が遅延し,入院後に多発膿瘍を合併した化膿性胸鎖関節炎の1例(Delayed surgical intervention after admission caused whole body multiple abscesses in the patients with septic arthritis of the sternoclavicular joint: a case report)
Author(s) -
Yuichiro Nishida 西田 雄一朗,
Hiroshi Matsuura 松浦 裕司,
Yukari Miki 三木 由香里,
Hiroshi Fukuoka 福岡 大史,
Hitoshi Yamamura 山村 仁
Publication year - 2021
Publication title -
nihon kyukyu igakukai zasshi: journal of japanese association for acute medicine
Language(s) - Uncategorized
Resource type - Journals
ISSN - 1883-3772
DOI - 10.1002/jja2.12607
Subject(s) - medicine , sternoclavicular joint , surgery , septic arthritis , arthritis , clavicle
要旨 化膿性胸鎖関節炎は胸鎖関節周囲の軟部組織に膿瘍形成を来す疾患で主に整形外科で扱われるが敗血症性ショックで救命救急センターに搬入される症例は稀である。今回外科的介入を含めた集学的治療が必要であった化膿性胸鎖関節炎の1例を経験したので報告する。症例は既往歴にコントロール不良の糖尿病がある49歳の男性。1週間前より左鎖骨痛その2日後に右肩痛が出現し徐々に痛みの増悪と意識障害を来し前医にて敗血症性ショックとなり当院へ救急搬送された。CTでは頸部から胸骨にかけて小さな膿瘍形成を認めた。保存的加療で全身状態の改善が得られ第9病日には一般病棟へ転床した。その後炎症反応の再燃があり第16病日の造影CTで膿瘍は縦隔に進展し左前腕部左膝部両側大腿骨周囲に膿瘍の形成を認めた。抗菌薬投与に加えて胸腔鏡補助下縦隔ドレナージ術および多発膿瘍に対して開窓術を行い炎症所見は改善し第69病日にリハビリ目的に転院となった。頸部領域の膿瘍で胸鎖関節周囲が関与している場合は本疾患を鑑別に挙げMRIも踏まえた関節炎・骨髄炎の有無について早期に診断を行い常に外科的介入を念頭に置いたうえで遅延なく的確に行うことが重要である。