
アニオンギャップ開大を契機に診断されたアルカレミアを呈したエチレングリコール中毒の1例(Ethylene glycol poisoning with alkalemia diagnosed by an elevated anion gap: a case report)
Author(s) -
Norihiro Watanabe 渡邉 紀博,
Yoshikazu Hirose 広瀬 由和,
Yukinori Inoue 井ノ上 幸典,
Yasuo Hirose 廣瀬 保夫,
Gen Nakamura 中村 元,
Wataru Hatano 波多野 亘,
Yasushi Hori 堀 寧
Publication year - 2021
Publication title -
nihon kyukyu igakukai zasshi: journal of japanese association for acute medicine
Language(s) - Uncategorized
Resource type - Journals
ISSN - 1883-3772
DOI - 10.1002/jja2.12516
Subject(s) - medicine , ethylene glycol poisoning , ethylene glycol , ion , organic chemistry , chemistry , metabolic acidosis
要旨 エチレングリコール中毒は重篤な中枢神経障害循環・呼吸障害腎障害を来す。中毒患者からの病歴聴取は困難となりやすいが血液ガス分析では代謝性アシドーシスを呈する例が多く診断の契機となることも少なくない。われわれは本中毒でありながら初療時の血液ガス分析でアルカレミアを呈した症例を経験した。40歳代の男性が意識障害で救急搬送された。初療時には低Cl血症アルカレミアを認めた。入院後著しいアニオンギャップ開大があったことを契機に代謝性アシドーシスが隠れていたことが判明した。エチレングリコール中毒を疑い中毒分析を行ったところ代謝産物であるグリコール酸が検出された。エチレングリコール中毒では代謝性アシドーシスに併存する代謝性アルカローシスによってアシデミアを呈さないことがありうる。中毒を疑う場合にはアシデミアを認めない場合にあってもアニオンギャップに注意を払うべきである。