
バイク事故による橈骨遠位端骨折に合併した月状骨脱臼の1例(Lunate dislocation with distal radius fracture following a motorcycle accident: a case report)
Author(s) -
Akihiro Kato 加藤 明裕,
Makoto Fukuta 福田 誠,
Yohei Kawaguchi 川口 洋平,
Takahiro Goshima 五島 隆宏,
Asako Matsushima 松嶋 麻子
Publication year - 2021
Publication title -
nihon kyukyu igakukai zasshi: journal of japanese association for acute medicine
Language(s) - Uncategorized
Resource type - Journals
ISSN - 1883-3772
DOI - 10.1002/jja2.12511
Subject(s) - medicine , radius , distal radius fracture , fracture (geology) , dislocation , lunate , orthodontics , surgery , composite material , wrist , materials science , computer security , computer science
要旨 月状骨脱臼はスノーボードの転倒やバイクの交通事故の際に手関節の強制背屈により生じた月状骨の掌側脱臼である。迅速に治療されない場合合併症として正中神経麻痺や月状骨の虚血性壊死が起こるが月状骨の脱臼は発生頻度が低く救急外来では見逃されやすい外傷である。今回バイク事故により橈骨遠位端骨折に合併した月状骨脱臼の1例を経験したので報告する。症例は27歳の男性。バイクで直進中に右折する自動車と衝突しボンネットに乗り上げた後落下した。頭部体幹に特記すべき外傷はなく左手関節の変形と橈骨遠位部に圧痛を認め右母指中手骨にも圧痛を認めた。単純X線およびCT検査で左橈骨遠位端骨折と尺骨茎状突起骨折左月状骨脱臼および右母指中手骨骨折右有頭骨骨折と診断した。受傷当日左手に対し観血的脱臼整復固定術を施行し入院2日目には右手に対する観血的整復固定術を施行した。入院9日目に合併症なく退院した。本症例では月状骨脱臼を早期に診断し治療したことで合併症なく良好な転帰につながった。月状骨脱臼は早期に診断し整復することが良好な機能予後を得るために重要であり交通外傷の初療を担当する救急医が注意するべき外傷である。月状骨脱臼を示唆する手関節の高度背屈という特徴的な受傷機転と単純X線像における手根骨の配列の乱れについて日頃から注意を払うことが重要と考える。