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VA–ECMOの迅速な導入により救命し得たトリカブト中毒の1例(A case of aconite poisoning: A life saved by prompt initiation of veno–arterial extracorporeal membrane oxygenation)
Author(s) -
Satoshi Ueno 上野 智史,
Makoto Onodera 小野寺 誠,
Lubna Sato 佐藤 ルブナ,
Kotaro Sorimachi 反町 光太朗,
Tsuyoshi Suzuki 鈴木 剛,
Yasuhiko Tsukada 塚田 泰彦,
Ken Iseki 伊関 憲
Publication year - 2020
Publication title -
nihon kyukyu igakukai zasshi: journal of japanese association for acute medicine
Language(s) - Uncategorized
Resource type - Journals
ISSN - 1883-3772
DOI - 10.1002/jja2.12487
Subject(s) - medicine , extracorporeal membrane oxygenation , anesthesia
要旨 トリカブトを摂取した症例に対して補助人工心肺であるVA–ECMOveno–arterial extracorporeal membrane oxygenationを用いて救命し得た1例を経験した。症例は20歳の男性。自殺目的にトリカブトの根を摂取し2時間後に救急要請した。救急車内で頻脈性不整脈を認め当院に搬送直後血圧低下と激しい嘔吐意識低下を認めたため気管挿管し迅速にVA–ECMOを導入した。モニター上心室細動を認めたが血中アコニチン濃度が低下したと考えられる摂取約24時間後に電気ショックを行い洞調律に復調したように見えた。心エコー図検査では壁運動がほぼ無動であり無脈性電気活動と判断しカテコラミンを併用した。第3病日心エコーで壁運動の改善を認めたことを確認したうえでVA–ECMOを離脱し第4病日にはカテコラミンも終了第17病日に心身医療科へ転科した。一般的に血中アコニチンは摂取24時間後に消失するとされており本症例ではトリカブト摂取から約24時間後に電気ショックを1度施行して洞調律に復調し約48時間後にVA–ECMOを離脱し得た。循環動態が破綻する重症トリカブト中毒ではbridge therapyとしてのVA–ECMOを迅速に導入し血中濃度が低下すると考えられる翌日以降に電気ショックを試みるべきである。