
くしゃみ後に突然胸背部痛を生じた特発性肋間動脈破裂の1例(A case of spontaneous rupture of the intercostal artery with sudden chest and back pain after sneezing)
Author(s) -
Seiya Kurimasa 栗正 誠也,
Tomonori Yamamoto 山本 朋納,
Yasumitsu Mizobata 溝端 康光
Publication year - 2019
Publication title -
nihon kyukyu igakukai zasshi: journal of japanese association for acute medicine
Language(s) - Uncategorized
Resource type - Journals
ISSN - 1883-3772
DOI - 10.1002/jja2.12366
Subject(s) - medicine , chest pain , anesthesia , intercostal arteries , cardiology , surgery
要旨 くしゃみを契機に発症した特発性肋間動脈破裂の症例を経験したので報告する。症例は57歳の男性。くしゃみ後に突然発症した胸背部痛にて前医へ救急搬送された。冠危険因子としてコントロール良好な高血圧の既往があるものの心電図や心エコー検査にて急性冠症候群を示唆する所見は認めなかった。胸腹部造影CT検査にて右第9肋間動脈からの造影剤の血管外漏出像およびその周囲の後縦隔血腫を認め血管内治療目的に当院救命救急センターへ転送となった。搬入時呼吸・循環動態は安定していたが深吸気で増悪する背部痛が持続していた。血管造影検査にて右第9肋間動脈からの造影剤の血管外漏出像を認めたためコイル塞栓術にて止血術を行った。止血後症状は軽快し入院翌日の血液検査にて貧血の進行を認めず止血術後の経過観察目的のため同日前医へと転院した。転院後も症状の悪化はなく術後4日目に退院した。本症例においては外傷の既往やカフェオレ斑神経線維腫症の家族歴は認めず肋間動脈破裂の明らかな原因は不明であり特発性肋間動脈破裂と診断した。本疾患は稀な疾患であるが報告例のほとんどで止血術が実施されているため注意が必要である。くしゃみや強い咳嗽後に説明のつかない胸部痛や背部痛を生じた場合は本疾患も鑑別疾患として念頭に置いて対応する必要があると思われた。