
敗血症性多臓器障害治療中に気管軟化症が明らかになり気管ステント留置を行った1例(A case of tracheal stenting in a tracheomalacia patient associated with septic organ failure)
Author(s) -
Satoshi Sunahara 砂原 聡,
Yousuke Matsumura 松村 洋輔,
Takehiko Oami 大網 毅彦,
Yoshihisa Tateishi 立石 順久
Publication year - 2018
Publication title -
nihon kyukyu igakukai zasshi: journal of japanese association for acute medicine
Language(s) - Uncategorized
Resource type - Journals
ISSN - 1883-3772
DOI - 10.1002/jja2.12305
Subject(s) - medicine , tracheomalacia , surgery , airway
要旨 気管軟化症は気管壁の脆弱性に伴う気管の呼気性狭窄であり保存的治療に抵抗性であることが多い。今回遷延する敗血症性多臓器障害の治療中に発覚した気管軟化症に対し気管ステントを留置した症例を経験したので報告する。症例は気管支喘息の既往がある76歳の女性。呼吸苦と意識障害を主訴に救急搬送された。肺炎およびCO 2 ナルコーシスを認めICUで人工呼吸管理を開始したが薬剤治療抵抗性の呼気性喘鳴を伴う換気不良が続いた。第36病日に気管支鏡にて気管軟化症と診断し意識障害や凝固異常を合併していたが人工呼吸器依存状態が遷延していたため全身麻酔下にY字シリコンステント挿入を決断した。ステント留置後は気道狭窄音が消失したが敗血症性多臓器不全のため第78病日に死亡した。気管軟化症は気管支喘息と誤診されやすく来院時CTでも気管横径は短縮していたため本症例は来院前より気管軟化症を呈していた可能性が高い。気管ステントは手術に比して低侵襲であるため敗血症性多臓器障害を来した患者にも留置できた。本症例は喘息の既往歴やCTによる気管径短縮の所見から早期に気管軟化症を疑うべきであった。呼気時気道狭窄の原因として常に気管軟化症を鑑別にあげ早期診断することが重要である。