
集中治療の現場で経験したサイトメガロウイルス(CMV)腸炎の4例(Cytomegalovirus enterocolitis in intensive care: four case reports)
Author(s) -
Arisa Muratsu 村津 有紗,
Masanobu Kishimoto 岸本 真房,
Hiroki Takahashi 高橋 弘毅,
Takashi Muroya 室谷 卓,
Kentaro Kajino 梶野 健太郎,
Hitoshi Ikegawa 池側 均,
Yasuyuki Kuwagata 鍬方 安行
Publication year - 2018
Publication title -
nihon kyukyu igakukai zasshi: journal of japanese association for acute medicine
Language(s) - Uncategorized
Resource type - Journals
ISSN - 1883-3772
DOI - 10.1002/jja2.12304
Subject(s) - medicine , cytomegalovirus , virology , virus , herpesviridae , viral disease
要旨 サイトメガロウイルスCMVは幼少期に不顕性感染したのち組織中に潜伏し集中治療管理下やステロイド薬・免疫抑制薬・抗癌薬を投与中など免疫不全状態の場合に顕性化することがある。消化管CMV感染症CMV腸炎は全消化管に生じ得るがとくに大腸・胃・回腸に好発しその診断には①消化器症状②内視鏡所見③血中CMV antigenemiaもしくは組織中のウイルスの証明が必要とされる。CMV腸炎は免疫不全患者では致死率の高い予後不良な疾患であり早期に診断し治療することが必要である。当科で経験した4例は2例がステロイド内服中であり4例いずれも集中治療管理中に発症した。症状・内視鏡所見からはCMV腸炎を疑う所見であったが各種ウイルス検査において抗原検査C7–HRPは必ずしも陽性ではなく2/4例核酸検査は4/4例が組織学的検査は1/4例が陽性であり予想された結果が得られず診断に難渋した。CMV腸炎と診断するには抗原検査のみでなく組織学的検査や核酸検査などを用いた総合的な評価が必要であった。集中治療の現場で消化器症状が持続する場合CMV腸炎を鑑別としてあげ抗原検査のみでなく下部内視鏡検査を行い組織学的検査核酸検査などを合わせて総合的に評価・診断すべきである。