
抗菌薬とアピキサバンの併用によって治療し得た化膿性血栓性門脈炎の1例(A case of pylephlebitis treated by antibiotics and apixaban)
Author(s) -
Ryu Sugimoto 杉本 龍,
Makoto Takaki 髙木 誠,
Yujirou Nakayama 中山 雄二朗,
Tadashi Kikuchi 菊池 忠,
Yasuhiro Gushima 具嶋 泰弘,
Junichi Maehara 前原 潤一
Publication year - 2017
Publication title -
nihon kyukyu igakukai zasshi: journal of japanese association for acute medicine
Language(s) - Uncategorized
Resource type - Journals
ISSN - 1883-3772
DOI - 10.1002/jja2.12237
Subject(s) - medicine , apixaban , antibiotics , microbiology and biotechnology , warfarin , rivaroxaban , atrial fibrillation , biology
要旨 化膿性血栓性門脈炎は腹腔内感染を契機に門脈系に血栓を生じる稀な疾患である。今回抗凝固薬としてダナパロイドに続き活性化第X因子阻害薬Xa阻害薬のアピキサバンを用いた化膿性血栓性門脈炎の治療経験を報告する。症例は70歳代の男性。既往歴に脳出血高血圧症2型糖尿病がある。悪寒戦慄を主訴に救急搬送された。水様下痢があり右下腹部痛を認めた。腹部単純CTでは回盲部の壁肥厚と周囲脂肪織の濃度上昇を認め回腸末端炎の診断で入院となった。入院後抗菌薬投与を開始した。CRPは低下傾向であったが悪寒戦慄を伴う間欠熱は持続した。第4病日の造影CTで回結腸静脈から門脈に至る血栓を認めダナパロイドの投与を開始した。その後解熱した。第13病日の造影CTで血栓は若干の縮小傾向を認めたが依然残存しており抗凝固療法の継続を必要とした。本症例は出血の高リスク群であったため経口抗凝固薬はワルファリンよりもアピキサバンを選択した。経過は良好で第25病日に転院となった。第132病日の外来フォローでは血栓は消退し再発はなかった。化膿性血栓性門脈炎にXa阻害薬を用いた報告は調べ得た限りでは2件のみである。今後化膿性血栓性門脈炎に対するXa阻害薬の有効性の検討が望まれる。