
ミノサイクリンによる薬剤性肺障害とダニ媒介性感染症の鑑別にダニの同定と媒介能評価が有効であった1例(A difficult distinction: a case of drug–induced pneumonitis or a tick–borne infection with lung involvement?)
Author(s) -
Yugo Soga 曽我 雄吾,
Tatsuo Takama 高間 辰雄,
Koki Umeda 梅田 幸希,
Ryota Kuroda 黒田 亮太,
Michiaki Kaku 賀久 道明,
Shinji Yotumoto 四元 真司,
Yoshihiko Sakamoto 坂本 喜彦
Publication year - 2017
Publication title -
nihon kyukyu igakukai zasshi: journal of japanese association for acute medicine
Language(s) - Uncategorized
Resource type - Journals
ISSN - 1883-3772
DOI - 10.1002/jja2.12228
Subject(s) - medicine , interstitial pneumonitis , lung , drug , pneumonitis , intensive care medicine , immunology , pharmacology , lung disease
要旨 今回ダニ媒介性感染症による肺病変と薬剤性肺障害の鑑別に難渋し刺咬したダニの形態学的評価と媒介能を検討し診断の一助とした症例を経験した。症例は50歳の男性。マダニ刺咬後にミノサイクリンの経口投与を開始された。2週間後に発熱呼吸困難感を認め当院受診。紅斑はなく好酸球の軽度増多を伴う白血球数の上昇とCRPの上昇両側肺に非区域性のすりガラス陰影を認めミノサイクリンによる薬剤性肺障害とダニ媒介性感染症による肺病変が考えられた。画像上両者の鑑別は困難であったためダニの同定とその媒介能の評価を各種検査と並行して行い診断することとした。患者が持参したダニはタカサゴキララマダニでありその媒介能から重症熱性血小板減少症候群severe fever with thrombocytopenia syndrome以下SFTSと日本紅斑熱による急性呼吸窮迫症候群の可能性は否定できないため精査を行った。SFTSウイルス Rickettsia japonica はいずれも陰性であり薬剤性障害と判断し薬剤を中止したところ症状と肺病変の消失を認めた。臨床医と研究者との緊密な連携によるダニの同定とその媒介能の評価がダニ媒介性感染症の鑑別に有用であった。今後は両者による知見の集積を行いより正確な媒介能の評価を行うことが重要である。