
シタグリプチン過量服薬の1例(A case of sitagliptin overdose)
Author(s) -
Kentaro Mochizuki 望月 健太朗,
Takuro Nakada 中田 託郎,
Motoki Aoki 青木 基樹,
Takako Oiwa 大岩 孝子,
Takashi Ogane 大鐘 崇志,
Arino Yaguchi 矢口 有乃
Publication year - 2017
Publication title -
nihon kyukyu igakukai zasshi: journal of japanese association for acute medicine
Language(s) - Uncategorized
Resource type - Journals
ISSN - 1883-3772
DOI - 10.1002/jja2.12208
Subject(s) - sitagliptin , hypoglycemia , medicine , dipeptidyl peptidase 4 inhibitor , type 2 diabetes , dipeptidyl peptidase 4 , plasma concentration , diabetes mellitus , endocrinology , gastroenterology , anesthesia , pharmacology
要旨 シタグリプチンはdipeptidyl peptidase–4以下DPP–4阻害剤でわが国では2009年に2型糖尿病に対し製造販売承認を取得した新しい作用機序の経口糖尿病治療薬である。他の経口糖尿病治療薬に比し低血糖を来しにくく現在幅広く使用されている。今回シタグリプチンを過量服薬した1例を経験したので報告する。症例は60歳代の男性母親と口論になり発作的にシタグリプチンを700mg内服し全身倦怠感を呈して救急外来を受診した。簡易血糖は293mg/dLであり輸液のみで入院となった。入院後2時間ごとに簡易血糖を測定したが低血糖は出現しなかった。第2病日も低血糖を認めず症状が軽快したため退院となった。シタグリプチン血中濃度は内服3.5時間後2.34mg/L11.5時間後0.446mg/L21.5時間後0.323mg/Lであった。過去の研究と照合し本症例は12時間以内に最高血中濃度があったと推測されその間に血糖低下を認めずシタグリプチン血中濃度と血糖値の間に相関もなかった。したがって腎機能が正常であればシタグリプチン過量服薬により低血糖を生じるリスクは低い可能性があるが今後さらなる評価を要する。