
直腸を病変の首座とする急性大腸偽性閉塞症による壊死型虚血性腸炎の1例(A case of gangrenous ischemic colitis caused by acute colonic pseudo–obstruction of the rectum)
Author(s) -
Yusuke Nakayama 中山 祐介,
Tetsuhiro Takei 武居 哲洋,
Hiroyuki Yamada 山田 広之,
Keiichi Yagi 八木 啓一,
Daiki Fujiwara 藤原 大樹,
Hidetaka A Ono 小野 秀高,
Jiro Kumagai 熊谷 二朗
Publication year - 2017
Publication title -
nihon kyukyu igakukai zasshi: journal of japanese association for acute medicine
Language(s) - Uncategorized
Resource type - Journals
ISSN - 1883-3772
DOI - 10.1002/jja2.12205
Subject(s) - medicine , rectum , sigmoid colon , gastroenterology , colonic pseudo obstruction , surgery
要旨 急性大腸偽性閉塞症acute colonic pseudo–obstruction: ACPOは明らかな閉塞機転や炎症性腸疾患などがないにもかかわらず急激な腸管拡張を来す疾患で穿孔により手術を要することがあるが腸管壊死を来すことは少ないとされる。今回我々は直腸におけるACPOによる壊死型虚血性腸炎の1例を経験したので報告する。症例は93歳の男性前日からの腹部膨満感と下腹部痛を主訴に搬送されてきた。患者は毎日排便がみられていたが直腸内には大量の便が充満しS状結腸まで著しく拡張していた。腹部造影CTでは直腸壁は造影されており閉塞機転もみられなかったためACPOを考慮して可及的に便の摘出を行ったが数時間後にショック状態に陥り緊急手術を必要とした。組織所見では壊死型虚血性腸炎を呈していたが明らかな血管閉塞はみられずACPOにより貯留した便が粘膜の圧迫壊死を来した原因と思われた。これまでACPOの多くはS状結腸までの左半結腸に病変の首座を有し横行結腸や上行結腸などの腹腔内の腸管が拡張する比較的予後の良い疾患とされていたが直腸におけるACPOでは周囲を骨組織に囲まれた骨盤腔内の腸管が拡張するため腸管内圧の上昇から腸管の圧迫壊死を来しやすいものと思われより早期からの腸管減圧介入と厳重な経過観察が必要と考えられた。