Open Accessピラニカ中毒の1救命例(A case of survival following Pyranika (R) poisoning)
Author(s) -
Takeo Matsuyoshi 松吉 健夫,
Takaaki Watanabe 渡邉 隆明,
Nobuo Sasaki 佐々木 庸郎,
Kazumasa Yamaguchi 山口 和将,
Naoki Kojima 小島 直樹,
Hiroshi Inagawa 稲川 博司,
Yasusei Okada 岡田 保誠
Publication year - 2016
Publication title -
nihon kyukyu igakukai zasshi: journal of japanese association for acute medicine
Language(s) - Uncategorized
Resource type - Journals
ISSN - 1883-3772
DOI - 10.1002/jja2.12121
Subject(s) - medicine , lactic acidosis , hemoperfusion , ingestion , acidosis , anesthesia , coma (optics) , glasgow coma scale , respiratory acidosis , respiratory failure , ards , intensive care , surgery , lung , intensive care medicine , hemodialysis , physics , optics
要旨 農薬の一つであるピラニカを服用し重篤な乳酸アシドーシスおよび呼吸不全を来したものの救命できた1例を経験したため報告する。症例は24歳男性自殺目的にピラニカ50mLを服用し1時間後に救急搬送された。来院時意識障害著しい乳酸アシドーシスを認め気管挿管のうえで胃洗浄活性炭投与を行った。入院後に活性炭吸着療法持続的血液濾過透析を含む集学的治療を行ったところ乳酸アシドーシスは軽快し循環不全に陥ることはなかった。また入院後に血性泡沫痰が出現し酸素化が悪化したことから肺水腫が疑われたが心機能が良く過剰輸液が否定的であったことから非心原性肺水腫と考えた。人工呼吸管理にて9時間程度で酸素化は改善した。服用36時間後に気管チューブを抜去し第8病日に後遺症なく退院した。ピラニカはテブフェンピラドを主成分とし他にナフタレンや界面活性剤を含んでいる。テブフェンピラドのミトコンドリア機能障害によって乳酸アシドーシスを呈するとされ循環不全や呼吸停止によって死亡した症例が報告されている。治療として確立されたものはない。本症例でも重篤な乳酸アシドーシスを来したが乳酸アシドーシスの発生に遅れて呼吸不全を来したことが特徴的であった。ピラニカ中毒では重篤な乳酸アシドーシスのみならず致命的な呼吸不全を来す可能性があり服用早期の積極的な呼吸管理の重要性が示唆された。