
大腸Crohn病の後腹膜穿通により骨盤腔から下肢に至る広範囲膿瘍を形成した1例(A case of Crohn’s disease complicated by a diffuse abscess extending from the retroperitoneum to the left crus)
Author(s) -
Masahito Tachi 館 正仁,
Hisaaki Kato 加藤 久晶,
Yoshito Tanaka 田中 義人,
Takahito Miyake 三宅 喬人,
Shiho Nakano 中野 志保,
Kazuhiro Yoshida 吉田 和弘,
Shinji Ogura 小倉 真治
Publication year - 2016
Publication title -
nihon kyukyu igakukai zasshi: journal of japanese association for acute medicine
Language(s) - English
Resource type - Journals
ISSN - 1883-3772
DOI - 10.1002/jja2.12094
Subject(s) - medicine , crohn's disease , abscess , disease , radiology , gastroenterology , surgery
要旨 症例は54歳の男性。基礎疾患に大腸Crohn病と難治性痔瘻がありステロイド内服治療を受けていた。左大腿部の腫脹と疼痛を主訴に近医を受診したところCT検査で同部位にガス像を伴う膿瘍を認めたためチューブドレナージを施行し二次医療機関へ転院搬送された。同病院でチューブドレナージの継続と抗菌薬投与が行われたが膿瘍のさらなる進展を認めたため当センターへ再転院搬送となった。当院来院時急性期DIC診断基準スコア5点acute physiology and chronic health evaluation以下APACHEIIスコア17点であった。CT検査ではS状結腸に後腹膜への穿通を疑う所見を2か所認め左腸腰筋から骨盤腔左大腿左下腿の広範にガス像を伴う膿瘍腔を認めた。DICを合併した重症敗血症であり緊急開腹ドレナージと横行結腸人工肛門造設術左下肢開放ドレナージ術を直ちに行った。出血傾向を認めたためS状結腸穿通部に対しては全身状態の改善した入院3日目にS状結腸切除術を実施した。その後は下肢の開放ドレナージを継続し入院1322日目に創部の一部縫合と植皮を行い同40日目にリハビリテーション目的で転院となった。大腸Crohn病の後腹膜穿通により骨盤腔から下腿に至る広範な膿瘍を形成した例は稀であり報告する。