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Fibrocartilaginous embolismの病態が関与したと考えられる一過性の両下肢麻痺を来した1例(A case of transient paresis on the legs suspected due to the pathological state of fibrocartilaginous embolism)
Author(s) -
Go Makishi 眞喜志 剛,
Tohru Okanishi 岡西 徹,
Kenji Mineta 峯田 健司,
Hisashi Dote 土手 尚,
Daihachiro Suwa 諏訪 大八郎,
Takahiro Atsumi 渥美 生弘,
Shigeru Tanaka 田中 茂
Publication year - 2016
Publication title -
nihon kyukyu igakukai zasshi: journal of japanese association for acute medicine
Language(s) - Uncategorized
Resource type - Journals
ISSN - 1883-3772
DOI - 10.1002/jja2.12076
Subject(s) - medicine , paresis , magnetic resonance imaging , pathological , embolism , radiology , pathology , surgery
要旨 Fibrocartilaginous embolismFCEは稀な脊髄梗塞の原因の一つである。FCEは椎間板の成分が脊髄循環に侵入し主に前脊髄動脈に塞栓を起こす。軽微な外傷によって発生しうるが重大な神経障害を生ずる。FCEの病態は本邦ではあまり認知されていない。症例は10歳の女児で倒立から転倒し直後は無症状だったがその1時間後から急速に進行する両下肢の筋力低下異常感覚膀胱直腸障害が出現したため来院した。magnetic resonance imagingMRIではTh9から脊髄円錐に腫脹および髄内の異常信号が認められた。これらの所見はFCEの臨床診断基準に合致した。脊髄障害に対しステロイド投与およびリハビリテーションによって運動機能は回復し18日目に自宅退院とした。退院時には軽度の膀胱直腸障害が残存していたが10か月後にはすべての症状が消失した。本症例は軽微な外力を契機とした進行性の両下肢麻痺が認められMRIで典型的な脊髄腫脹および異常信号が認められたためFCEによる脊髄梗塞と臨床診断した。急性発症で進行性の麻痺を呈する症例では軽微な受傷機転であってもFCEを鑑別に挙げるべきである。