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都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望(Present status and prospects of emergency medical care for elderly patients in an urban secondary emergency hospital)
Author(s) -
Masaya Kainuma 甲斐沼 孟,
Hiroyuki Nakaba 中場 寛行
Publication year - 2016
Publication title -
nihon kyukyu igakukai zasshi: journal of japanese association for acute medicine
Language(s) - Uncategorized
Resource type - Journals
ISSN - 1883-3772
DOI - 10.1002/jja2.12072
Subject(s) - medicine , emergency medicine , medical emergency
要旨 【背景】65歳以上の高齢者人口は2,958万人で総人口に占める割合は23.1%となり2011年度の全国平均では高齢者救急搬送率は49.3%を占めた。今後高齢者数の増加に伴いさらに救急医療の需要が増大することが予想される。高齢者救急は倫理的社会的医学的に重症と軽症の選別が難しく地域医療の重要な課題である。【目的】都市部で二次救急を担当する当院の高齢者救急医療の現状を明らかにすること。【対象と方法】2013年4月2014年3月迄の救急搬送患者を対象とし合計救急搬送数等の各項目について65歳以上及び65歳未満両群で比較検討した。【結果】65歳以上群の救急搬送数は合計2,330件年間総搬送数4,148件の56%に相当。年齢は78±8歳男性1,121例女性1,209例であった。搬送元は病院施設含む163例診療所319例自宅または外出先1,848例であった。高齢者救急搬送のうち入院症例は合計1,301例56%であり65歳未満の入院合計821例45%に比し有意に多かったp=0.02。65歳以上群では循環器疾患で搬送される症例は同群全搬送数の32%であり65歳未満群の18%に比し有意に高値であった。また循環器科に分類される救急搬送例の中で緊急処置を要する頻度ならびに冠動脈造影やペースメーカー植込みを要する頻度はいずれも65歳以上群の方が有意に高値であった。65歳以上群における平均入院期間は17±22日入院後死亡は57例でいずれも65歳以上群が65歳未満群に比べて有意に高値であった。【結語】65歳以上群において処置を有する重篤な循環器疾患が多く様々な合併症を有するため高齢者は入院率が高く入院日数が延長していた。入院率も高い傾向にある高齢者救急は都市部救急病院における診療の要である。今後も継続して適切な高齢者救急医療サービスの提供が望まれる。