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出血性ショックを伴う腹部刺創に対し,IABO併用下のDCS後に下腿コンパートメント症候群を呈した1例(A complicated case of lower leg compartment syndrome after damage control surgery (DCS) with intra–aortic balloon occlusion (IABO) for severe abdominal stab injury under severe hemorrhagic shock)
Author(s) -
Hiroshi Suginaka 杉中 宏司,
Yuichi Fukumoto 福本 祐一,
Nobuhiro Hayashi 林 伸洋,
Yuka Sumi 角 由佳,
Yoshiaki Inoue 井上 貴昭,
Ken Okamoto 岡本 健,
Hiroshi Tanaka 田中 裕
Publication year - 2015
Publication title -
nihon kyukyu igakukai zasshi: journal of japanese association for acute medicine
Language(s) - Uncategorized
Resource type - Journals
ISSN - 1883-3772
DOI - 10.1002/jja2.12007
Subject(s) - medicine , abdominal compartment syndrome , damage control surgery , compartment (ship) , surgery , shock (circulatory) , balloon , compartment syndromes , occlusion , anesthesia , abdomen , resuscitation , oceanography , analgesic , geology
要旨 腹部刺創による出血性ショック症例に対して大動脈閉塞バルーンカテーテルintra–aortic balloon occlusion; IABODamage Control Surgery以下DCSを施行後下腿コンパートメント症候群Lower Leg Compartment Syndrome; LLCSを呈した1例を経験したので報告する。症例は43歳男性で腹部を刺し倒れているところを発見され当院に救急搬送された。来院時ショック状態を呈し腹部超音波検査にてMorison窩に液体貯留を認め外表上腹部2ヶ所の刺創より腸管脱出を認めた。初期輸液に反応せず気管挿管及び右大腿動脈からIABOを挿入し濃厚赤血球の急速輸血を開始した。来院から約35分で緊急開腹術を施行した。開腹すると複数箇所の腸管損傷を認め刺入創先端は後腹膜に達していた。可及的な腸管切除後後腹膜部位からの出血のコントロールが困難となりdeadly triadを認めたためガーゼパッキングを実施して速やかに閉腹した。初回術後Intra–abdominal pressure以下IAPは最高値40mmHgを示したためabdominal compartment syndrome以下ACSと判断し術後約24時間でsecond look operationを施行し腸管吻合を実施した後閉腹した。その後IAPは16mmHgまで速やかに改善した。しかし初回緊急手術から約48時間後右下腿の色調変化と下腿コンパートメント圧の上昇最大80mmHgを認めた。血清クレアチニンキナーゼCKは62100IU/Lまで上昇した。右LLCSと診断し減張切開を行い速やかにコンパートメント圧は低下した。しかし一部筋壊死を認めたため術後13日目に壊死筋部のデブリードマンを要した。術後経過は良好で第53病日に独歩退院した。本症例におけるLLCSの成因としてIABOやDCSに伴う下腿虚血・還流障害が一因と考えられた。