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A大学病院では開頭クリッピング術を予定していた が,手術前日のカンファレンスにおいてコイル塞栓術に 変更した結果,コイルが脳動脈瘤外に逸脱して死亡した 症例である. 第 1審東京地裁平成 14年 7月 18日判決は,術式の変 更にあたり説明が不十分であり,それと死亡との間に因 果関係があると認め,6,636万円余りの賠償を命じた.た だし,公平の見地から 3割減額している.これに対して, 控訴審(第 2審)東京高裁平成 17年 5月 25日判決は, 担当医師は開頭クリッピング術とコイル塞栓術の得失に ついて説明していると認定し,遺族の請求を棄却した. 最高裁平成 18年 10月 27日判決は,患者に熟慮する機 会(保存的に経過をみるか,あるいは手術するとして開 頭かコイルか)を与えなかった可能性があるとして,こ の点の審理を尽くすべく東京高裁に事件を差し戻した. その差戻審東京高裁平成 19年 10月 18日判決は,前記説 明義務違反を認めたが,死亡との因果関係を否定し(仮 に十分な説明を受けたとしても,やはりコイル塞栓術を 選択したであろう),慰謝料 800万円の支払いを命じた. 大学病院側が最高裁に上告受理申立てをしたが,却下さ れ,判決は確定した. 本件は,平成 11年(同年 1月 11日に Y市大病院患者 取り違え事件が発生)に始まった医療バッシングの嵐の 10年の真っ只中の事件であり,現在でも妥当するかは疑 問である. しかし,乳癌の乳房温存療法に関する最高裁判決(平 成 13年 11月 27日)で示された,医師の患者に対する 「いずれの道を選ぶかについて熟慮し判断する機会を与

Neurosurgery and Medical Lawsuit