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近年、自動車や船舶等の輸送機械に使用される構造材料 は、国際的な地球環境保全への意識の高まりにより、省エ ネルギー・効率化が進められている。それに伴い、より一 層の軽量化が求められている。その中でも鋳造用 Al合金は 軽量かつ高強度であり、適合分野は拡大傾向にある。 そこで、軽量かつ高強度であり、生産性に優れる鋳造用 Al合金どうしの直接接合が注目されている 。しかし、溶 接法の中で最も多用されている溶融溶接法によって鋳造材 を溶接すると、溶接時に母材より発生するガスが溶接部の 強度に影響を及ぼすことが知られている 。 これらの問題に対し、低温・低変形量で材料どうしを接 合する方法の一つとして、固相接合法が挙げられる。固相 接合法とは、母材を溶融することなく、部材を固相状態で 顕著な変形を加えることなく加熱・加圧して接合する方法 である。それにより、接合時の熱・荷重による部材へのダ メージや接合変形量を抑制することが可能となる。また、 低温で接合を行うため、部材の軟化に伴う接合部の脆弱化 を防ぐことが可能である特徴も有している 。 しかしながら、実際の接合表面には微細な凹凸や自然酸 化皮膜、さらには加工層をはじめとする様々な接合阻害因 子が存在する。したがって接合の初期段階において、接合 表面の凹凸が接合界面の密着化を妨げ、たとえ密着してい ても表面酸化皮膜が母相の原子面どうしの接触した領域を 減少させ、接合強度の上昇を妨げることになる。そこで高 強度を有する継手を得るためには、接合完了前に Al合金表 面の強固な酸化皮膜の除去あるいは改質処理を施す必要が ある。 これまでの研究で、金属表面の酸化皮膜は有機酸中での煮 沸により金属塩に置換され、接合中の加熱による熱分解で金 属面が露出し、Al-Si系のろう材を用いたろう付け法に比べ 低温で固相接合することが可能であることがわかった 。 そこで本研究では、鋳造用 Al合金の 0.2 %耐力相当の 接合強度を得るために接合界面近傍に液相を形成し、アル ミニウムの表面に存在する自然酸化皮膜を接合部外周へ浮 遊除去および熱による部材へのダメージの軽減を目的とし て、Alとの間で低温の共晶点を有するシート状の Zn表面 に金属塩被膜を付与し、接合界面に挿入することで、接合 強度への影響を調査した。

金属塩被膜付与Zn シートを用いた鋳造用Al 合金の液相拡散接合