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現在、SiC、GaNなどのワイドバンドギャップ半導体デ バイスが、従来のシリコン系半導体に代わる次世代パワー デバイスとして注目されている。そのため次世代パワーデ バイスの性能を有効に利用するために、デバイスの実装方 式の高耐圧化、信頼性評価、小型化が要求されている 。 パワーモジュール内部には故障が発生しやすい部分(弱 点部分)が存在し、その部分では絶縁破壊の前駆現象であ る部分放電(Partial Discharge以下、PD)が発生する。その ため弱点部分が故障に至るまでの期間(絶縁破壊時間)を評 価すること、弱点部分の位置を特定することが必要である。 絶縁破壊時間を評価するために加速試験が用いられる が、加速試験は約 3~ 6ヶ月程度の時間を要する。そのた め次世代パワーモジュールの開発を加速させるために、そ の開発品の長期的な信頼性をより短期間で評価したい需要 がある。そこで著者らは、加速試験の短縮化を目指し、パ ワーモジュールにおける部分放電開始電圧(PD Inception Voltage : PDIV)、印加電圧-電荷量(V-q)特性、PD発生位 相角(φ-q)特性を評価している 。 また、弱点部分の位置を特定するため PDが起きた際 に発生する PD 放射電磁波(Electromagnetic Wave 以下、 EMW)信号をループセンサにて検出して PD位置の標定を 行ってきた 。その中で複数のセンサにて検出した EWM 信号の到達時間差を用いて PD位置の標定(到達時間差法 以下、TOF法)を行い、最高標定精度が 5 mmの標定技術 を確立した 。一方、パワーデバイスおよびパワーモジュー ルの小型化に伴い、更なる位置標定精度の向上が必要とな る。精度向上を実現するために、各センサ間の到達時間差 を正確に算出し、PD位置を標定するアルゴリズムが必要 であること、また、高周波信号である EWM信号を正確に 検出することが必要である。 そこで、本報では累積エネルギー法を用いて各センサ間 の到達時間差を算出し、PD位置を標定するアルゴリズムを 構築したので報告する。また、実際の IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor : IGBT)モジュール、次世代パワーモジュー ルを模擬したモデルを対象に、発生した PDをセンサおよ び 10 GS/s、80 GS/sのオシロスコープを使って検出し信号 処理することで、算出した標定結果について報告する。 研究論文

到達時間差法を用いたパワーモジュール内部の部分放電発生位置標定の高精度化検討