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近年もしくは今後にはさらに、燃料電池自動車、電気自 動車に対する需要増が見込まれている。それにも関わらず、 内燃機関システムを備えたガソリンおよびディーゼルエン ジン自動車は、液化燃料の高いエネルギー密度のために、 引き続き好ましい輸送手段といえる。その高エネルギー変 換効率のために、ディーゼルエンジン燃焼方式は単位走行 距離当りの二酸化炭素排出量低減に大きく寄付していると されている。現在ヨーロッパ市場では、販売される新車の うち 70 %以上はディーゼルエンジン自動車である(もっ と高くなっているかもしれない)。本エンジンでの燃焼メ カニズムでは、エンジン中への大量の空気の吸入および排 気により、ガソリン自動車排ガスと比べて大変高濃度の酸 素が含まれることとなる。したがって、過剰酸素が存在す る状態で、同じく排出規制の係る窒素酸化物をコントロー ルするためのガソリン車用三元触媒 (Three-Way Catalyst; TWC)の設置が困難となることは自明である 。さらに、 ディーゼル特有の粒子状物質、いわゆるディーゼルすす (Particulate Matter; PM)の排出削減は、排気規制に対してさ らに重要となる 。 ディーゼルから排出される PMの除去はフィルタ (Diesel Particulate Filter; DPF)の設置により大幅に改善され、現在 は PMの 95 %以上を削除する効率的な手段となっている 。 環境に優しい自動車として、ディーゼルエンジン自動車は 益々その位置づけを高くしつつある。一方で、基本的には フィルターである DPFには頻繁な再生が余儀無しとされ、 高い燃費を落とさずに再生が可能な PM燃焼触媒が強く望 まれている 。近年開発された DPFを連続的に再生するす す捕捉システム (Continuous Regeneration Trap; CRT)では、 窒素酸化物のうち一酸化窒素 NOを二酸化窒素 NO2とし、 PM酸化剤としている。NO2を高濃度に得るために、大量 の Ptを備えた一層目触媒が不可欠となる(実際には未燃 炭化水素、一酸化炭素の酸化触媒 Diesel Oxidation Catalyst; DOCでもある)。その NO2により、後段の DPFで 300 °C (ディーゼル燃焼システムからの排気温度にほぼ匹敵)付近 で PM酸化を触媒することを可能とする。本触媒システム の場合にはさらに第 3の触媒が必要となり、PM酸化剤と して働いた NO2が NOとして排出されるのを、尿素を噴霧 し加水分解により得られるアンモニアを還元剤として選択 的に還元している (Selective Catalytic Reduction; SCR)。 これまで気相酸素は PM酸化剤として利用されてこな かった。なぜなら、PM酸素酸化には 600 °C以上もの高い 温度が必要とされるのである。ディーゼル車の排気に含ま れる酸素による PMの酸化を促進するために、これまで多 くの研究者が、排気温度程度での PM酸化触媒を探索して きている。なかでもカリウム種が触媒活性点として有望な 候補であるが 、いくつかの重要な欠点が見いだされてい る。まず、カリウムは PM酸素酸化が起こるような高温で 高い揮発性を示すこと、次に、排気に含まれる水に容易に 溶解し、生じた高濃度アルカリ溶液によってセラミックハ ニカムが損傷を受けることである。我々はこれまで、ゼオ ライトの一種であるソーダライト、あるいは霞石鉱物(ネ フェリン)のようなテクトアルミノケイ酸塩上で安定担持 された炭酸カリウムが PM酸素酸化に対して優れた触媒性 能を示し、水への溶解性にも優位性を示すことを見いだし てきた 。本研究では、安定化された不安定カリウム種に よる PM酸素酸化触媒活性サイトを特定する目的で、ネフェ リンに担持された炭酸カリウム種上での気相酸素による炭 素酸化のメカニズムを検討した。 解 説

表面カーボネート種が関わるPM 燃焼に活性なカリウム種の触媒特性