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52 ( ) 1.はじめに 近年,農産物価格の低迷等や農業経営収支の悪化 により,小作料や農地価格が下落している.また, 農業労働力の高齢化や担い手不足により,耕作放棄 地が増加している. 大西敏夫氏 1) は,標準小作料の低下傾向に加え, 実勢小作料(全国農業会議所調べで水田:全国 10 a 当たり)が 1985 年をピークに下落基調となり 2005 年には 1 万 6,347 円と半減した.その要因を,米生 産費調査の分析により,土地純収益の低下であると 指摘した. また,2000 年以降について,島本富夫氏 2) は, 北海道や都府県,そして東北,新潟,九州において, 農地価格と小作料が下落し,同時に農地の売買事由 が変化していることを指摘した.都府県での農地売 却事由は,「高齢化等による労働不足」,「離農」,「兼 業による経営縮小」の割合が増加傾向にあり,「資 金が必要」という理由での売却が減少傾向にある. 以上の動きは,従来の農地売買の事由である「戦 後,農家が農地を手放す事由は,子弟の教育や結婚 や負債整理などいわゆる家族や家の存立に関わる事 情の資金調達であった」ことからすれば大きく変化 した . 北海道を除く都府県での農地価格は,都市的需要 や転用の影響を受け,農業収益還元価格から乖離し ていた.しかし,東北では,農地価格の下落によっ て,農業収益価格の水準に近づき,その資産的な側 面が低下している .本論文では,東北各県の農地 価格,小作料の動向や農地価格の水準について検討 する.また,東北地域で農業的色彩の強い山形県鶴 岡市を取り上げ,農地価格と小作料の下落の要因と 農地移動及びその事由について,とくに出し手と受 け手における理由を実態調査により明らかにする. 鶴岡市では,小作料の下落率よりも農地価格の下落 率が高いことが特徴である.また,農地価格の下落 が続いているなかで,地域農業・農村維持のため, 市や農協による斡旋,支援が必要となっていること を明らかにする.以上を踏まえ,農地価格と小作料 の下落要因とそれによる地域農業への影響を明らか にする.

The Problems Concerning Agricultural Land and Rent and the Issue of Farmland: The Case of Tsuruoka, Yamagata Prefecture, Northeast