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( ) 1.はじめに 現在,JA や市町村合併を契機として農村コミュ ニティの再構築がみられる中,農家を中心に少なか らぬ農村住民が出資・労働・農産物出荷等をする地 域経営体 1) が注目されている.北川は地域経営体の 萌芽的形態として集落型農業法人を取り上げて,設 立・展開状況について述べており,今後の展望につ いて,「本稿で取り上げた集落型農業法人は,特に 設立に際しては,多かれ少なかれ市町村自治体や関 連機関からの支援を受けているのが実情であり,国 の「選択と集中」施策はもとより市町村合併の推進 によって,そうした支援にまで手が回らなくなる可 能性が高い」と述べている.その上で「地域の活動 を支えるリーダーやコーディネーター,あるいは現 場で従事するオペレーター等のボランティア的な労 働に依拠する以外に方法なない.むしろ,こうした 労働に対する支援,さらにはそれを引き出すような 仕組みの整備が求められよう」とも述べている.要 するに住民の自主的な力が重要になってくるという ことを指摘している.しかしその後,設立段階から 運営までを自主的な活動ですすめる住民主導型の地 域経営体に関する研究はみられない.そこで,本研 究では組織を設立する際に市町村自治体や関連機関 からの支援がなくても住民の力で,資本金やハード 整備である拠点作りまでをも準備する取組を住民主 導型と位置付けて研究対象とする.また,北川の地 域経営体の先行研究では,経営的存立条件は分析さ れているが,設立要件についての分析は行われてい ない.住民主導型地域経営体の場合には,自治体や 関係機関が主導する地域経営体とは異なり,経営体 の設立段階が重要であるため,組織の「設立要件」 を明らかにする必要がある. 以上のことを踏まえて本研究では,住民主導型の 地域経営体が複数ある和歌山県田辺市秋津野の上秋 住民主導型地域経営体の展開を可能にした要因 ―和歌山県田辺市上秋津地域を事例として―

The factor in the Development of Regional Cooperative Management