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昨年7月パリで開催された第2回ロボカップ国際大会で は,世界22カ国から約70チームが参加し,シミュレーショ ン (約40チーム),実機小型 (12チーム),実機中型 (18チー ム) の3つのリーグで熱戦が繰り広げられた.ロボカップ の目的は,ロボティクスと人工知能における新たな標準問 題を設定し,多くの研究者が動的マルチエージェント環境 における協調・競合問題の解決に当たることで,知的人工 システムの様々な諸問題を解決することである [1]. 筆者のチームは,第1回の名古屋大会から参加し,特徴 として学習機能を取り上げ,主に強化学習法を用いてロ ボットの行動を獲得してきた.通常,「学習」の特徴として あげられる (1)容易なプログラミング (2)より少ない事前知識 (3)汎用性 は,理論的な学習アルゴリズムが理想的な環境で適用さ れる際には,優れた特徴と写るが,実際の環境に適用して いく上では,必ずしもそうとは限らない.我々の研究目標 は,このような表層的な学習の特徴の実現より,むしろ自 律エージェントが環境との相互作用を通して,世界をどの ように表現し行動を獲得していくかといった,ロボットの 認知過程に焦点を当ててきた.特に,環境因子として他の エージェントの行動が自分の行動をどのように規定してい くかという過程の中に,ロボットが「自我」を見出してい く道筋が解釈できるのではないかという期待がある. 本稿では,我々のここ5年間の研究の推移を認知ロボティ クスの観点から見直す.最初に他者の存在の認知に関する 議論を展開する.次にそれぞれのアプローチについて,筆 者が「展望」[2]でのべた二つの設計論 (内部/外部構造の設

Cognitive Robotics. Cognitive robotics in the RoboCup initiative.