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近年,国 内外のさまざまな研究機関で盛んに研究されているナ ノカーボン材料(カ ーボンナノチューブ(CNT),カ ーボンナノフ ァイバー(CNF),カ ーボンナノコイルなど)の ほとんどは繊維形 状をしており,広義の意味での炭素繊維とみなすことがで きる。 これら各種ナノカーボン材料の製造方法は,誤解を恐れずに言え ばそのほとんどが気相での成長(気 相法)に よるものである。 ,工業化されている炭素繊維(PAN系,ピ ッチ系,レ ,フ ェノール系など)の製造方法はプリカーサー(前 駆 体)繊 維を紡糸した後,こ れを炭素化する方法をとっている。こ れらの方法(紡 糸法)は 気相法に比べて単位製品当たりの製造に 必要とされるエネルギーが低 く,大量生産に向くと考えられる。 そういった意味でナノカーボン材料を,紡糸法を用いて工業化 できれば大量生産が期待でき,価格も大幅に下がると考えられる のでさまざまな分野への応用展開が加速されると考えられる。 しかしながら,上記炭素繊維を直接的に細繊化することは難 し く,特にサブミクロン以下の繊維径の炭素繊維を得ることは非常 に困難である。 そのような中で2000年 に群馬大 ・大谷 らによってポリエチレ ンとフェノール樹脂の混合物を溶融紡糸 して海島型複合繊維を 得て,熱処理時にポリエチレンのみを熱分解除去することによって サブミクロンオーダーのフェノール樹脂系カーボンナノファイバ ー(Ph -CNF)を 得るという,後に「ポリマーブレンド法」と名付け られた手法の原点となる発明が発表された1)。この方法により調 製されたPh-CNFは,い わゆるアモルファスカーボンに属するも のであり,その特徴などについては後述するが,気相法で調製さ れた一般的なCNTと は性質を異にするものであった。その後,大 谷らはポリマーブレンド法を用いてアクリル系ポリマーを原料 と する,気相法で調製されたのと同様なCNT製 造方法の発明2)に も成功 しており,ポ リマーブレンド法によるナノカーボン材料の デザイニングの可能性についても示唆している。 これらの製造方法に用いられている技術はいわゆるハイテク と呼ばれる技術ではなく,既存の技術の組み合わせで構成されて お り,そ れ らの組 み合 わせ で先端 材 料 とも呼 べ る ナ ノカ ーボ ン材 料 が得 られ てい る。 しか しなが ら,炭 素材 料 研 究 者 と して の観 点 か らす る とあ ま りな じみ の ない技術 が あ るこ とも事 実 で あ る。 そ こで本 稿 で は,こ れ か らナ ノカ ーボ ン材料 製造 実 験 を始 め ら れ る方 々 を対 象 と して,そ の手 法 の1つ で あ る 「ポ リマ ー ブ レン ド法 」に関 して,現 在 筆 者 らが工 業 化 を 目指 してい るPh.CNFの 製 造 方 法 を中心 に実 験 室 で の方 法 や そ こか らのス ケ ー ル ア ップ につい て製 造 の原 理 や考 え方,使 用 装 置,検 討 すべ き製 造 条件,注 意 点 な どをわか りや す く解 説す る。

Preparation method of carbon nanofiber from phenolic resin by using polymer blend technique