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原 子 半 径 は近 い が,炭 素 原 子 の みの 結 晶構造 はグ ラ ファイ ト構 造 あるい は ダイヤモ ンド構 造 であ るの に対 し,ホ ウ素原 子 の つ くる結 晶は1000°C 以下の温度において三方晶で,1000~1500°C で正方 晶となり,炭素原子のつくる結晶構造とはまったく異なっている。 ダイヤモンドは高圧相であるのでここでは考察の対象から外す。 常圧相であるグラファイ トの場合は,ホウ素原子による炭素原子 との置換は可能であるが,ホウ素の結晶構造との違いから置換す るホウ素原子の濃度には限界があって,限界濃度は低いと考えら れる。すなわち,固溶限界の低いホウ素置換グラファイ ト固溶体, いわゆるホウ素 ドープグラファイト(Boron-doped graphite)が生 成する可能性が考えられる。グラファイト結晶に固溶 したホウ素 原子はアクセプターとなるので,グ ラファイトのフェルミ準位を 下げる働きをする。それゆえ,ホウ素原子をドープした単結晶グラ ファイトの磁化率およびホール係数のホウ素濃度依存の結果から, 伝導バンドから電子が消滅し,正孔のみの伝導に移るときのホウ 素濃度が炭素1原 子当たりのホウ素原子数B/Cで1.40×10-4と なることがわかった1)。その後,Lowellに よって,ホ ウ素原子固 溶限界が温度とともに上昇するもののきわめて狭い固溶範囲の 相図が得られ,ホ ウ素 ドープを行うための1つ の方向が与えられ た4)。Lowellに よるホウ素固溶グラファイ トの調製法は拡散法 の1つ である。また,拡散法によるホウ素 ドープの手法はカーボ ンナノチューブへのホウ素 ドープにも適用することができる5)。

Boron doping of carbon and graphite materials with diffusion methods