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近 年,顎 関節 症 の 主 た る成 因 と して 咬 合 異 常 が 注 目 され て い る。 これ らの 咬 合 異 常 は 咬 頭干 渉 な どの 歯 牙 接 触 状 態 の 異 常,上 顎 に 対 す る下 顎 の水 平 的 な 位 置 異 常 及 び 垂 直 的 な 顎 間 関係 の 異 常 に 大 別 で き る。 顎 関 節 症 患 者 の治 療 に 際 し,術 者 は主 た る咬 合 異 常 が上 記 の いず れ の異 常 に よ る もの か を診 断 す る必 要 が あ る。 しか し,こ れ らの 診 断 に際 し,顎 関節 症 患 者 で は 咀嚼 筋 らの 疼 痛 に よ り必 ず しも容 易 に これ を 診 断 す る こ とが で き な い。 著 者 らは,以 前 よ り頭 位 を変 化 す る こ と で 惹 起 され る緊 張性 頸 反 射 とEMGバイ オ フ ィー ドバ ッ クを 用 い た診 断 法 を 行 い,い くつ か の 問 題 点 を 克 服 して き た。1),4),5),6),7)本 法 に よ る診 査 で は,上 ・下 顎 の垂 直 的 な 顎 間 関 係 の異 常 に 関 し て は 必 ず し も診 断 し得 る も の で は な い が,こ れ以 外 の上 記 の2種 の 咬合 異 常 に関 して は 比 較 的 容 易 に検 出 し得 る大 き な 特 徴 が あ る 。 そ こで,今 回 は 顎 関 節 症 患 者 の1例 を 通 じてEMGバ イオ フ ィー ドバ ッ ク と緊 張 性 頸 反 射 を 用 い た 咬 合 診 査 法 の特 徴 につ い て言 及 す る。 <方 法> EMGバ イオ フ ィー ドバ ッ ク に よ る具体 的 な 咬 合 診査 法 は,こ れ ま で報 告 した 方法6),7)と同様 であ るの で 詳 細 につ い て は 省 略 す る。EMGバ イ オフ ィー ドバ ッ ク と緊 張 性 頸 反 射 を 用 い た 咬 合 診査 法 の基 本 は,ま ず患 者 の 頭 位 を前 ・後 屈 曲 位,左 右 側 方傾 斜 位 へ と変 化 させ 反 射 的 に下 顎 の 移 動 を 惹 起 させ る こ と で あ る。 こ の下 顎 の 移 動 は神 経 反 射 を介 し て誘 発 さ れ る もの で,す で に 筋 電 図 を 用 い た 実 験 か ら明 らか に さ れ て い る。 さ らに そ の基 本 は,患 者 の両 側 咬 筋 か らEMGを 表面 電極 で 導 出 し,ミ キ シ ン グ後,そ の活 動 を 音 の 強 弱 と して患 者 が 認 識 で き る よ う にす る こ と で あ る。 患 者 は 自分 自身 の タ ッ ピ ン グ運 動 に伴 う筋 活 動 量 を音 を 聞 き な が ら 自 己調 節 す る。 タ ッ ピ ン グ運 動 に伴 う筋 活 動 量 が 咬 筋 の 自発 放 電 レベ ル の 活 動 量 と識 別 で き な い ほ どの 小 さ い タ ッ ピ ン グ運 動 を 患 者 に習 得 さ せ,こ の 時 の 歯 牙 の接 触 状 態 を シ リコー ン印 象 材 に て採 得 す る。 歯 牙 の 咬 合 して い る部 位 は,こ の採 得 され た チ ェ ッ クバ イ ト上 で光 透 過 す る部 分 と して観 察 され る。 EMGバイ オ フ ィー ドバ ック を用 い な が ら種 々 に 頭位 を 変 化 させ る こ とに よ り,緊 張 性 頸 反 射 が よ り正 確 に達 成 し得 る こ と,ま た 咬合 接 触 状 態 で は,咬 頭 傾 斜 な ど の歯 牙 の 誘 導 の な い状 態 で 早 期 の 接 触 状 態 を検 知 しえ る こ と な ど が これ ま で の 実験 か ら判 明 して い る。7)そこで これ らの 咬合 診 査 法 を 顎 関 節 症 患 者 に 応 用 し,そ の 治療 経 過 を 観 察 す る こ と に よ り,咬 合 接 触 状 態 の変 化 と下 顎 位 の 移 動 につ い て 詳 細 に調 べ た。 さ らに顎 関 節 症 患 者 に お け る通 常 の タ ッ ピ ング時 の下 顎 位 の 変 動 とEMGバ イオ フィー ドバ ック下 に お け る タ ッ ピ ング 時 で の 下 顎 位 の変 動 を 比 較 した。 下 顎 位 の 変 動 はMKGを 用 いて 記録 し,そ の 出力 を 陰 極 線 オ シ ロ ス コ ー プ上 で測 定 した 。 <結 果> 本症 例 に お け る顎 関 節 症 患 者 は23才 の 女 性 で,左 側 顎 関 節 の 開 口 時痛 を主 訴 と して1982年3月

An etiological diagnosis on TMJ dysfunction using a tonic neck reflex and EMG biofeedback method