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ディーゼル機関から排出される粒子状物質(以下PM と略す)については,陸上排出源に対する規制や対策 が進展している.船舶に対しても,燃料油中の硫黄分 削減で PM 排出量削減を担保する国際海事機関の規制 が,2005年に発効し,2010年7月に強化された.今後, 燃料油中の硫黄分削減による間接的な規制だけではな く,PM 排出量を直接規制する場合や船舶からの PM 排 出実態を調査する上で,PMの計測法の問題点を明らか にし,改良することは重要と考える. 舶用ディーゼル機関から排出される PM に適用可能 な計測法は,JIS B 8008(以下,2000年版を引用する) に規定されており,自動車用の計測法と多くの原理を 共有している.しかし,舶用ディーゼル機関は,自動 車用エンジンと比べ,出力,回転速度,使用燃料油等 の面で大きく異なるため,排出されるPMの特性も異な る.舶用ディーゼル機関におけるPM計測について,前 田は,実験条件がPM計測値に及ぼす影響を明らかに するとともに,計測精度を向上させる方法について検 討し,希釈トンネルへの排気導入管部分が希釈空気で 冷却されないように二重管構造の直管とすることを提 案した.一方,著者らは,PM計測の正確さの指標を 得るため,排気中のサルフェート濃度と,PMに含まれ るサルフェートから推算される排気中のサルフェート 濃度を比較した.その結果, サルフェートの半分は排 気希釈システム内で損失していた.PMは,固体表面に 沈着し,再浮遊しなければそこにとどまり損失する. したがって,PMの損失を議論する上で,排気希釈シス テム内面の表面積に関係する装置の寸法は,重要な因 子となる.JIS B 8008において希釈トンネルの長さは, “乱流の状態で排気及び希釈空気が完全に混合するに 足りる十分な長さとする”と記述されているほか,部 分捕集方式の分流希釈システムについては,その長さ について希釈トンネルの内径の 10 倍より長くするよ うに推奨されている.一方,もう一つの分流希釈シス テムである全量捕集方式の希釈トンネルの長さについ ては,記述されていない.後者は,前述の引用論文 で使用されており,全量捕集方式の分流希釈システム における希釈トンネルの長さが, PM 排出率に及ぼす 影響を明らかにしておく必要がある. PMの損失を議論する場合,PMの動力学特性が粒径に より変化するため,粒径分布を計測する必要がある. これまでの研究によれば,自動車の排気を対象として, 希釈トンネル内の沈着が粒子状物質計測に及ぼす影響について

Influence of Deposition Loss in Dilution Tunnel on Particulate Matter Measurements