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北海道十勝平野の北部地区はやや冷涼な気候の 中,内 陸地域のため一日の寒暖の差が大きく馬鈴薯 栽培に適 し,澱 粉質の多い馬鈴薯を生産する日本最 大の馬鈴薯産地を形成している。そしてこの地域の 近隣4町 の5農 協で馬鈴薯共同施設として十数万 ト ン収容の倉庫群,選 果場等を地理的に中心となる士 幌町に設置して,馬 鈴薯の集荷,貯 蔵,選 果,出 荷 を行なっている。 そのうち約4万 トン程度が生食用として,9月 より 翌年4月 頃までの約8ヶ 月にわたり,本 州方面の市 場に主に10Kg詰 めダンボールの荷姿で期間中ほぼ 一定量の割合で出荷 。そしてこの生食用馬 鈴薯のうち,発 芽の恐れのある3月 下旬から4月 に かけて出荷する8千 トン程度の馬鈴薯のみガンマ線 による芽止め処理を施して出荷している。 秋に収穫される北海道産馬鈴薯において,低 温貯 蔵倉庫設備を持たない産地は春先の発芽懸念のため 12月頃までに,ま た持つ産地も3月 以前に出荷 しよ うとする傾向がある。そして4月,5月 頃からは九 州産馬鈴薯が,量 的にはそれまでの北海道産ほどで はないが新イモということで北海道産の倍近い価格 で本格的に出荷 されてくる。従って北海道産収穫直 前の7,8月 と,九 州産の生育状況にもよるが3月 下 旬から4月 くらいが国内的に生馬鈴薯の供給量が減 少気味の端境期とされる。 昭和47年 の食品衛生法における馬鈴薯の放射線 処理認可を機に,翌 年,日 本原子力研究所高崎研究 所の設計により,5農 協の共同施設として士幌町に 馬鈴薯の芽止め照射施設 「士幌アイソトープ照射セ ンター」が施工され,昭 和49年 春より芽止め馬鈴薯 の出荷が始まった。 照射施設は2m厚 の普通コンクリー トの壁,天 井 で14m×14mの 約60坪 ほどの照射室,馬 鈴薯コン テナ搬出入のコンベア棟,及 び制御の操作室により 構成されている。照射室内にはその中央に深さ6m ほどの線源貯蔵プールを設置して,そ のプール内の 線源昇降装置により6PBq前 後のコバル ト60線源を 水中より引き上げて放射線照射する。そして線源よ り5m離 れた所に,1.4ト ンの馬鈴薯入りの厚 さ1.1m のスチールコンテナを円形ターンテーブル上に並べ て照射する。この5mの 距離は,コ ンテナ内の吸収 線量分布を発芽抑制最低線量の60Gy以 上から法令 規制値の150Gy以 下にするために必要である。その

Thirty years experience of commercialization on potato irradiation at Shihoro