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船体への水生生物の付着を防ぐために使用される防汚塗料の多く は,バイオサイドを含む。バイオサイドは生物殺傷活性を示す物質 であり,付着生物以外にも影響を及ぼすため,海洋環境に与える影 響を最小化することが必要である。バイオサイドとして防汚塗料に 使用された有機スズ化合物は難分解性で海水や底質に残留しやすい ため,巻貝のインポセックス現象が報告され,多くの海生生物に蓄 積するなどの有害性が広く認められるようになり,国際海事機関に より AFS条約が 2008 年 9 月に発効し,有機スズ化合物の使用が禁 止された1)。これにより,有機スズ化合物に代わる代替防汚剤が利 用されている。日本塗料工業会による 2005 年に公表された 16 種類 の防汚剤の内,環境残留や生態影響,環境動態などについて詳細に 研究されているのはジウロンとイルガロール 1051 などいくつかに すぎない1-3)。日本で使用される有機スズ代替防汚剤のうち銅ピリ チオン(CuPT)と亜鉛ピリチオン(ZnPT)は亜酸化銅に次ぐ高い 頻度で船底塗料に使用される防汚剤である1)。CuPT及び ZnPTは 光分解,生分解によって,7種類の分解産物(ピリジン-N-オキサ イド(PO),2-メルカプトピリジン(HPS),ピリジン-2 -スルホ ン酸(PSA),2-メルカプトピリジン-N-オキサイド(HPT),2,20ジチオ-ビス-ピリジン-モノ-N-オキサイド(PPMD),2,20-ジチオ -ビス-ピリジン([PS]2)と 2,20-ジチオ-ビス-ピリジン-N-オキサ イド([PT]2))が生成することが報告されている4, 5)。環境水中では ZnPTは CuPTとして存在することが確認されている6, 7)。金属ピリ チオンの海洋生物に対する毒性影響に関しては微生物群集8),藻類, 甲殻類,ウニと貝などの海洋生物9-13)について報告されてきた。海 洋硬骨魚類の仔魚期幼生に対する金属ピリチオンと 6種の分解産物 の急性毒性が報告された14, 15)。例えばアセチルコリンエステラーゼ (AChE)阻害試験において,CuPTと ZnPT及び分解産物の [PS]2 と [PT]2の IC50 は,ガランタミン(galanthamine)と同程度の阻 害活性であった14)。CuPTと ZnPT及び分解産物が水生生物に及ぼ す影響については,藻類(Skeletonema costatum),甲殻類(Tigriopus 報 文 [環境化学(Journal of Environmental Chemistry)Vol.23, No.2, pp.65-72, 2013]

Effect of Sediments on the Aquatic Fate of Copper Pyrithione Antifouling Agent