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1時間当たりの焼却能力が 200 kg未満かつ火格子面積が 2m2未 満の小規模な廃棄物焼却炉(小型焼却炉)は,かつては簡便なごみ 処理施設として学校や事業所等で汎用されていた。廃棄物の焼却設 備の基準は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(廃掃法)に規 定されている。廃掃法は,1990 年代に社会問題となったダイオキ シン類汚染を契機に,廃棄物焼却炉からのダイオキシン類の排出を 抑制するため,1997 年および 2002 年に改正された。廃掃法の改正 により,焼却炉には「維持管理基準」と「構造基準」が設定され, これに伴い多くの小型焼却炉はごみ焼却に使用できなくなった。一 方,文部省(当時)では 1997 年 10 月に,都道府県教育委員会等に 対して,学校におけるごみ焼却炉の使用を原則として取りやめるよ う通知している1)。以後これらの小型焼却炉は使用されずに,ごみ 投入口や灰出し口等の開口部が施錠されたり,ビニールシートで覆 われたりした状態となっている。自治体によってはこれらの焼却炉 を解体撤去しているところもある2)が,全国には小中高校だけでも あわせて 38,000 校以上あり3),その他の学校や事業所などを併せ ると,使用できずに放置されている小型焼却炉は未だ全国に多数あ ると考えられる。 ダイオキシン類は,ポリクロロジベンゾパラジオキシン,ポリク ロロジベンゾフランおよびダイオキシン様ポリクロロビフェニルの 総称で,ごみ等の焼却によって非意図的に生成される4,5)。ダイオ キシン類は難分解性で半減期が環境中においても数十年6)と長いこ とから,遮光された焼却炉内で保存された焼却灰中ではほとんど分 解されずに残留していると考えられる。また,廃掃法改正前に使用 されていた小型焼却炉は,ダイオキシン類の排出を抑制するための 「維持管理基準」や「構造基準」が適用されていなかったため,残 存する焼却灰中のダイオキシン類濃度は高いと考えられる。した がって,ダイオキシン類による環境汚染,あるいは生徒や住民への 曝露のリスクを考える上で,小型焼却炉に残留している焼却灰の汚 染レベルを把握することは重要である。 埼玉県では,2006 ~ 2011 年度に,県有の高等学校や博物館,図 書館など 151 施設に設置されていた 162 基の小型焼却炉をすべて撤 去した。焼却炉の解体撤去作業に際しては,作業者の安全を確保す るために,炉内汚染物(焼却灰)中のダイオキシン類を測定するこ とが,「廃棄物焼却施設内作業におけるダイオキシン類ばく露防止 対策要綱」(平成 13 年(2001 年)4月 25 基発第 401 号の 2,以下「要 綱」という)に規定されている。埼玉県で撤去した炉の一部につい ては,著者らが調査を行い,残留灰中のダイオキシン類を測定した ので,これらの濃度レベルを報告する。

Concentrations of Dioxins in Ash Residue from Small-sized Incinerators Placed at Facilities such as Schools