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地下を流れる水の動きについて学ぶのは,土木 系であれば土質力学あるいは地盤工学の講義のは じめの頃であるし,それ以外であれば水文地質学 の初期の頃であろう。土中水(地下水)の動きに ついては,水循環,ダルシーの法則,透水係数, ポテンシャル関数,ラプラス方程式,流線網など が説明され,その後,地下水圧の分布,井戸の水 理,井戸関数が出てくる。土質力学の教科書で は,土中水を流している媒体すなわち多孔質体で ある土や岩盤との相互作用についての記述はほと んど無い。すなわち,ここでは媒体は剛体である と暗黙のうちに理解されている。 つぎに,教科書は,通常では土の圧縮と圧密現 象の説明に移る。圧密は,過剰間隙水圧状態の水 が徐々に絞り出されて変形(一般的には沈下)が 起こる現象であるが,地下水の流れとの関連性に ついては全く説明されず(地下水流れではなく水 圧の変化に主眼を置いている),Terzaghiの一次 元圧密方程式が出現する。媒体は弾性体と仮定さ れ,有効応力,全応力など水圧や土圧表現が前面 に出てくるので,この現象も地下水の流れの一端 であることが理解されにくい。圧密現象も特殊な ことではなく,地盤や岩盤に水が絡んでくるとあ らゆるところで発生する地盤・浸透水連成作用の 一つのケースであることは,明確には理解されて いない。こうしたことは,現象を俯瞰的に捉え ず,個々の現象だけに目を向けて説明するために 起きることであり,木を見て森を見ないこととな 地下水学会誌 第 58 巻第 1号 3 ~ 7(2016)

Timeline review of coupling analyses on groundwater from multifaceted perspective