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公衆衛生的知識が普及し,衛生状態の向上した現在, 寄生虫疾患は減少傾向にあるが,近年の海外旅行ブー ム,グルメブーム,ペットブームなどと相まって,新 たな輸入寄生虫疾患や古典的寄生虫疾患の再燃を甘受 してきた.我々が経験した肝蛭症は牛,羊などの草食 動物を終宿主とし,肝臓や胆管に寄生し,人畜共通感 染症ではあるが,人体寄生例はまれとされている.今 回,肝右葉に限局性病変を認め,乳癌からの肝転移と 術前診断し,手術を施行したが,術後の血清免疫学的 検索にて肝蛭症と診断し,マイクロ波凝固術にて根治 し得たと考えられた 1例を経験したので報告する. 症 例 患者:46歳,女性 主訴:左乳房腫瘤 既往歴:20年前より花粉症 家族歴:特記すべきことなし. 現病歴:約 3年前,左乳房腫瘤を自覚したため近医 を受診し,吸引細胞診を受けたが,良悪性の確定診断 に至らなかったため放置していた.以後,当院産婦人 科にて子宮筋腫の治療を受けていたが,乳房腫瘤の増 大傾向を認めたため外科紹介となる. 入院時現症:身長150.5cm,体重49kg,栄養状態良 好.腹部は平坦,軟,腫瘤は触知せず. 乳房局所所見:左乳房C領域に径約 2cmの可動性 良好であるが,硬い不整形の腫瘤を触知した.境界は 不明瞭で,えくぼ症状を認めた.腋窩リンパ節に小指 頭大のリンパ節を数個触知した. 入院時検査所見:白血球6,100 mm(Eos 17%),赤 血球413×10 mm,Hb 10.7g dl,CRP 0.61mg dl と好 酸球の上昇を認めた.血清膠質反応 ZTT 15.3U,TTT 4.9U と軽度上昇し,肝機能障害も軽度認めた.腫瘍 マーカーは正常であった(Table 1). 乳房超音波検査所見:左乳房C領域に17×19×15 mm大,境界不明瞭・八つ頭状で,内部エコーは不均一 な低エコーを呈し,後方エコーの減衰を呈する腫瘤を 認めた. 腹部超音波検査所見:肝 S4,S5から S8にかけて,3.5 ×2.5×2.8cm大の境界不鮮明な低エコー域を認めた (Fig. 1). 腹部CT検査所見:単純CTでは,肝 S4,S5から S 8にかけて,肝表面に境界やや不鮮明で不均一な低吸収 域を呈する腫瘤を認めた(Fig. 2).造影CTでは,はっ きりとした腫瘤としては,描出されなかった. フェリデックスMRI 検査所見:肝 S4,S5から S8に かけて,3.5×2.5,2×2,1×1cmの high signal intensity を認めた(Fig. 3). 日消外会誌 34(11):1620~1624,2001年

A Case of Fascioliasis Diagnosed as Preoperative Metastatic Liver Tumor Successfully Treated with Microwave Coagulation Therapy.