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1 緒 言 ケイ素,ゲルマニウム,スズといった14族元素の連鎖に より主鎖が構成される高分子は,それぞれポリシラン,ポリ ゲルマン,ポリスタンナンと呼ばれる.これらの高分子およ びその共重合体はシグマ共役系高分子と呼ばれ,多くの研究 がなされている1).これらのシグマ共役系高分子は,単結合 のみにより主鎖が構成されているにもかかわらず,その主鎖 に沿ってシグマ電子が非局在化している.そのためシグマ共 役系高分子は,パイ共役系高分子同様,導電性材料や他の機 能性材料としての可能性を有しており,様々な応用の観点か ら研究が行われてきた2). シグマ共役系高分子は,その研究が始まった当初, Kipping法3)が合成法として一般的となったが,低収率であ ることや安全上の問題点からそれに代わる手法が求められ, やがて,電解合成法が開発された4-7).電解合成法は,分子 量があまり大きくならないという欠点はあるものの,比較的 高収率であり安全であるため,より優れた方法であると評価 されている.分子量があまり大きくならない原因の一つは, 合成された高分子が再度電極から電子を受け取り,還元的に 切断されるためと考えられている. 応用を考える際,物性の最適化等の目的でしばしば重要と なる共重合体についても,その電解合成法の工夫が報告され ており,シラン-ゲルマン,シラン-スタンナン,ゲルマ ン-スタンナンの各共重合体が合成されている8-10). 一方,近年,電解生成活性種としてアニオンを蓄積する方 法が有機電解合成の手法として発展し11-13),これに伴い,ゲ ルミルジアニオンを電解により発生・蓄積して反応に利用で きることがわかってきた14).容易に理解されるように,この ようなジアニオンは,シグマ共役系高分子の新たな合成の道 を開く可能性を持つ.反応生成物が電解を受けないという蓄 積反応法の利点がうまく働くならば,比較的高分子量の重合 体が得られることが期待されるのでさらに興味深い.電解を 用いないゲルミルジアニオンの合成の報告が数例あるが,そ のシグマ共役系高分子合成への適用はなされていない15-21). そこで,本研究では,Scheme 1に示すように,電解生成 ゲルミルジアニオンをジクロロスタンナンと反応させて,シ グマ共役系高分子であるゲルマン-スタンナン共重合体を合 成することを目的とした.ゲルミルアニオンの電解発生・蓄 積が可能であるのに対し,ケイ素のアニオンは,ジアニオン ― Article―

Synthesis of Germane-stannane Copolymers using Electrochemically Generated Germyl Dianions