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1 緒 言 シリコンをフッ酸溶液中でアノード酸化することで形成さ れるポーラスシリコンは,基板の比抵抗や電解条件に応じて ミクロ孔からマクロ孔まで孔径の制御が可能であり,その高 い多孔度を利用して電気化学センサーや光電気化学セルなど への応用が検討されると共に,バルクシリコンにはない可視 発光特性を制御した発光素子としての応用研究も盛んに行わ れている1,2).ポーラスシリコンの作製方法はフッ酸を含む 電解液中でのアノード酸化が最も一般的であるが,Bohnら3) はイオンスパッタリングを用いて金や白金,パラジウムなど の貴金属薄膜を付与したシリコン基板をフッ酸-過酸化水素 の混合液中に浸漬させることで電気化学的手法を用いること 無くポーラスシリコン層の形成が可能であることを報告した. 一方,八重ら4)は無電解めっきにより白金やパラジウムなど の貴金属の微粒子を析出させたシリコン基板をフッ酸に浸漬 するだけでもエッチングが進行し,過酸化水素などの酸化剤 がなくてもポーラスシリコンを形成できることを報告した. また,松村ら5)の報告によれば,銀微粒子を析出させたシリ コン基板をフッ酸-過酸化水素の混合液に浸漬することで銀 微粒子がエッチングの触媒として作用し,直径100 nm程度 の銀微粒子が基板内部に沈降しながら深さ500 μmの孔を形 成することも可能である.貴金属微粒子の触媒作用によるポ ーラスシリコン層の形成は,太陽電池表面の反射率を低減す る新たなテクスチャー技術として期待されるだけでなく,既 存のマスク形成技術と組み合わせることによりシリコン基板 を位置選択的にエッチングすることが可能であり,拡散膜, 発光デバイス,化学センサーなどの作製技術として応用が検 討されている6). 我々はこれまでにシリコン基板上に形成したポーラスアル ミナやコロイド結晶の自己組織化構造をマスクとして利用し, 化学エッチングやアノード酸化によるシリコン基板の微細加 工を検討してきた7-9).また,自己組織化的に形成されるコ ロイド結晶の規則構造に着目し,前述した金属触媒エッチン グを組み合わせることで,コロイド結晶の規則配列を転写し たマイクロメートル周期のシリコン凸型及び凹型構造を作製 できることを報告した10).自己組織化構造をマスクとして利 用した構造転写技術は,既存のリソグラフィー技術に比べ, パターンの多様性や加工精度には欠けるものの,工程の簡易 さ,低コスト,大面積加工などの特徴を持ち,トップダウン 方式によらない微細加工技術として様々な分野での応用が期 待される. 本研究では,粒径3 μmから200 nmの範囲のポリスチレン 微粒子をマスクとして用い,シリコン凹凸構造の周期をナノ メートルオーダーまで微細化させることを検討した.また, 二液法活性化前処理を用いてパラジウム微粒子触媒の位置選 択的付与を検討し,無電解めっきで析出させた銀微粒子を比 較対照に,シリコンのエッチング挙動に及ぼす触媒付与形態 の影響を検討した. ― Communication―

Electroless Deposition of Noble Metal Nano Particles as Catalyst and Subsequent Micropatterning of Silicon Substrate by Wet Chemical Etching