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2013年度住宅・土地統計調査で都道府県別空き 家率を見ると,空き家率が高いのは山梨県や四国 4県,鹿児島県,和歌山県などが目立っており, 一方,埼玉県,神奈川県,東京都,千葉県,愛知 県などの空き家率はいずれも高い地域よりも数% 低い。 また,2010年比で2035年までの国立社会保障・ 人口問題研究所の一般世帯数推計を見ると,東京 都(3.6%),神奈川県(3.5%),愛知県(2.6%), 滋賀県(3.5%)などは世帯数がマイナスに転じ ない希有な都道府県である。一方,減少が著しい のは,秋田県(△21.4%),高知県(△17.5%), 青森県(△17.3%),島根県(△16.5%)などがあ げられる。 空き家率が既に高い数値を示し,併せて世帯数 の減少が大きく見込まれる地域が,地方圏であり, 大都市圏は,地方と比較すると空き家率が低く, また世帯数の減少も地方圏ほど大きくない。従っ て空き家問題は,大都市圏では地方ほど大きな問 題ではないように見えるし,そのように考えてい る自治体も多いように思える。 しかし,当然ではあるものの大都市圏の住宅件 数は絶対数では極めて多いために,数多くの空き 家への対応が今後急速に迫られることになる。 2013年の住宅・土地統計調査では,全国の空き家 の 1割を東京都が占めており,大阪府8.3%,神 奈川県5.9%,愛知県5.1%,千葉県,埼玉県,兵 庫県を加えると, 1都 1府 5県で,43%を占めて いる。 今後,大都市圏の世帯数の増加が頭打ちとなり, 東京都でも2010~15年で4.4%,2015~20年1.9%, 2020~25年で0.4%となり,その後は2025~30年 で△0.9%,2030~35年で△2.0%とマイナスに転 じる。このようになると,このままでは大都市圏 で大量の余剰住宅が発生し,膨大な空き家が出る ことは明らかである。 本稿では,以上のような認識に基づいて,大都 市圏に焦点をあて空き家の実態把握に関わる問題 と,大都市圏の今後の課題として共同住宅に焦点 をあてその問題を指摘し,さらに大都市の郊外住 宅地を対象とした空き家対策の課題を把握する。 その上で,空き家活用対策の一つの案として,空 き家を活用したコミュニティ拠点の提案と普及促 進方策について述べる。

Vacant Housing Issue and a Measure for Utilization of Vacant Houses and Spaces in Metropolitan and Suburban Areas