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本論文の目的は、1960年代のアメリカにおけるエスニック・マイノリティの問題をめ ぐって「リベラル」という政治的立場がどのように成立したのかを、当時の主要な論壇誌 における議論を素材として検討することにある。「リベラル」という政治的立場は、一般 的には「保守」との対立関係でとらえられることが多いが、このように政治的立場を「リ ベラル/保守」(ないしそれに類する「進歩/保守」「左/右」)の枠組でとらえるという 試みは、マンハイムの古典的な議論[Mannheim 1927]をはじめ、知識社会学あるいは政 治社会学における基本的なアプローチの一つであり続けてきた。冷戦期間中あるいはその 終結直後においては、こうしたイデオロギー対立に対する否定的見解[Bell 1960; Fukuyama 1992]も出されはしたが、むしろ近年は、こうした枠組を積極的に評価しよう とする試みが多く提示されている[Hirschman 1991; Mouffe 1993; Bobbio 1994; Giddens 1994; Bourdieu 1998]。また本論文が具体的な検討の対象とするアメリカにおいても、「リ ベラル/保守」という枠組は、チャールズ・ビアードらによって提示された後[Beard and Beard 1944]、多くの論者によって踏襲されている[Hofstadter 1948; Hartz 1955; Rossiter 1955; Lowi 1969; Lowi 1995]。 そしてこうした枠組は、本論文が対象とする 1960年代のアメリカにおけるエスニッ ク・マイノリティの問題についても、基本的に当てはまるものだと考えられてきた。1960 年代のアメリカにおけるエスニック・マイノリティの問題の中心は「人種問題」(あるい は「黒人問題」)であり、当時はこうした問題の解決を目指す公民権運動が、社会を二分

The Rise of the ^|^ldquo;Liberal Majority^|^rdquo; in 1960s America