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油脂分 解とは周知のごと く油脂 と水 とを反応 させ てグ リセ リンと脂肪 酸を うる操作 をい う。油脂分解 は工業上 重要 である。 セ ッケ ン,合 成洗浄剤,塗 料,可 塑剤,お よび多 くの有機化合物 を製造す るために脂肪酸 が広 く使 用 されるか ら で あ る。油脂分解反応 はオー トクレーブ 法,ト ィ ッチ ェル法,酵 素法,連 続高 温度法 を問 わず不 均一系反応 である。 しか し連続高温度法で は相 当量 の水 が油層 に溶解す るよ うになる1)。 これ らの油脂分解反応 は油-水 界面 で 行 なわれ るとか2)~4),主 として 油相 にお いて均質反応 と して 行 なわれ る5)~13)とか 未分解脂肪酸 の分解反応(油 脂分解反応)に ついて報告 され ている。 現今で は一般 に水 と油 との間の不均質反応 は,油 に溶 け た水 と油 との均質反応 に比べれ ば重要で ないとされ,低 温で は油 中への水の溶解度は限定 さ れ て お り,反 応 は 初め徐 々に行 なわれ,誘 導期間が存す るとい わ れ て い る8),9),14)。反応初期 にお いて は トイッチ ェル法で もオー トク レーブ法で も,エ マル シ ョンが形成 され,油 相での 遊離脂肪酸 の生成 とと もにエ マル ショ ンは形成 しに くく な る。 この遅 い不均質反応 か ら速い均質反応への変化 は,油 相 にお ける脂肪酸量お よび水量の増加 と密接 な関 係が ある。脂肪酸 中への水の溶解度 は油の場 合に比 し増 大 し,か つ 温度 が上昇すれ ば こ の 溶解度 は著 しく増加 す る1)。 反応速度 に対す る触媒の影響 と し て は 酸性お よび塩基性触媒 と も油相中 への 水 の 溶解度を増大 させ る8),9)。ZoOあ るいはMgOの ような触媒で は,金 属 セ ッケ ンを生 じこれが実際の触媒 とな る9)。 油脂分解反応 については上述の ごと く,“油-水 界面で 行 なわれ る”,“主 として 油相 にお ける均 質反応 として 行 なわれ る” と大体 において二 つの説が あ り,両 者 は相 互 に矛盾 した内容 を含んでい る。著者は さきに トイッチ ェル法油脂分解 で用い る ドイツ製品 コ ンタク トお よび ア メリカ製 品ネオコ ンタク トよ りも強 力な8種 の触媒(親 油性部 を有するスルホ ン酸)に ついて報告 した15)~19)。こ れ らの強力 な触媒 を調製す るに当た り,油 脂分解反応機 構 を解 明すべ きで あると痛感 した。よって不均一系 油脂 分解反応 と して トイッチ ェル法油脂分解反応 を選択 し, その反応機構 に関 しかつ てか な り詳 細に検討 したので こ こに総説 的にその概要を述べ,従 来 の説 による混迷 の根 源 をつ き不均一系油脂分解反応機構解 明に資 したいと思 う。

Reaction Mechanism of Heterogeneous Fat Splitting, Especially by the Twitchell Process