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注射剤中に存在する不溶性微粒子が生体に及ぼす危険 性については,20 年以上前から指摘されてきた.動物 体内にガラスアンプル (GA) 片が混入した溶液を静脈内投 与すると,肺,肝臓,腎臓および脾臓に傷害を起こすこ とが報告されている.このような報告例から,定期的 な治療を必要とする抗悪性腫瘍薬および高カロリー輸液 等を施行している患者は,より不溶性微粒子混入の懸念 の少ない注射液の使用が望ましいことは明白である. われわれは,アンプルカット時に混入する不溶性微粒 子に関する研究をいくつか行ってきた.その中で,異 物混入・強度等の観点から医薬品容器は GA からプラス チックアンプル (PA) へと変遷している点に着目し,GA お よび PA の開封時における不溶性微粒子混入数の比較を 行った.その結果 PA は,GA と比較して有意に不溶性微 粒子混入が少ないことが明確となった.このことより, 品質保持等に問題がない注射剤には PA 容器が推奨される とした.また,日本病院薬剤師会の素案である「高カロ リー輸液の調製に関するガイドラインの策定 抗がん剤無 菌調製ガイドライン」,あるいは注射剤調製実践マニュ アル で提唱されている方法は,十分な不溶性微粒子の 沈殿を得ることが困難であることを報告し,GA 開封後 の静置時間は 60 秒以上が理想であるとした.しかし, GA 片と PA 片では不溶性微粒子の組成の違いにより沈降 挙動に違いがあることが考えられるが,PA 開封により発 生が懸念される不溶性微粒子の組成ならびに粒子径およ び PA 開封後の静置時間と不溶性微粒子沈降の関係に関す る報告が見あたらない.そこで今回われわれは,PA 開封 後の不溶性微粒子の粒子径ごとの沈降挙動および PA 開封 時に混入する不溶性微粒子の組成を明確にし,その沈降 医療薬学 37(11) 643 ― 648 (2011)

Insoluble Microparticle Contamination and Sedimentation Occurring at Time of Opening Plastic Ampoules