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近年,医療従事者の職業的抗がん剤被曝に関する関心 が集まっている.その背景には,医療従事者の尿中から 抗がん剤が検出されたとする人的被曝や調製室,安全キ ャビネット内における環境被曝の報告が国内外から相次 いでいる.医療従事者における抗がん剤の被曝は,流 産等の生殖毒性や発がんのリスク増になるとされている 4, .職業的抗がん剤被曝を防ぐには,抗がん剤の調製に 際してグローブおよびマスク,ガウン,閉鎖系調製器具 を使用する他,安全キャビネットを使用することが必要 不可欠である.これら器具の中で,グローブ等は汚染後 廃棄できるのに対して,安全キャビネットでは,化学的 な分解液を用いて残留抗がん剤を分解し,清拭すること が重要である.わが国のガイドラインでは,安全キャビ ネット内の清拭に 0.3M水酸化ナトリウム水を基本に, 汚染した抗がん剤種に応じて 2% 次亜塩素酸ナトリウム 水あるいは 1% チオ硫酸ナトリウム水を使用することが 推奨されている.しかし,これらすべての分解液は,市 販されていない上に,使用薬剤ごとに使い分ける点,人 体に刺激性がある点,使用後に水拭き除去しなくてはな らない点で使用が煩雑である.さらに,一般にシクロホ スファミド等の一部の抗がん剤は,これら分解液を使用 医療薬学 37(10) 585 ― 589 (2011)

Study on Degradation of Residual Anticancer Drug Using Photocatalyst in Safety Cabinet (2nd report)