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1.は じめに 百済 は,そ の都城 の変遷 によ って,漢 城 時代(紀 元前18~475 年),熊 津 時代(475~538年),泗 批時代(538~660年)に 区分 され る。 こうした都城 の南遷 は,高 句麗や新羅 との戦いによ って 後退 を強い られた結果 であ り,泗 批,す なわち現在の扶余 は百済 最後の都城 であった。本論 で検討 する宮南池 は,そ の扶余 に位置 し,泗 批時代 に武王 によ って造 られた。す なわち 『三国史記』武 王35年(643)三 月 条 に,「穿池於宮南。 引水二十余里。 四岸植 以楊柳。水中築 島嶼。擬 方丈仙 山。」')とある。 つま り,王 宮 の南 に池 を掘 り,20余 里 す なわち8km余 を導水 し,池 には島を築 い て神仙島 とし,池 の周囲 には揚柳を植 えた ことが記 されて いる。 洪(1970)2)は,1965~67年 に文化財管 理局が実施 した宮南池 整備工事 に伴 う浚喋工事 に際 して池底 か ら出土 した土器片 や瓦片 などを調べ,遺 物 のすべてが百済時代 に限 られている ことを確認 した。 また,整 備前の池 の状況(写 真3))に 基づいて宮南池 の規 模 を推定す ると同時 に,合 わせて 「三国史記』 に記される 「引水 二十 余里」の導水源 を旺浦川 に求 め,陵 山里の東10里 に位 置す る青 馬山城の南谷 をその起点 と推定 した。 李(1978)4)は,宮 南 池 の造営 は,武 王 による泗批宮 の修理や,王 興寺 ・弥勒寺の建築, 益山第二京経営 など,一 連 の大規模工事の一環 と して行われた も のであ り,宮 南池 の広 さは上記整備後の池,す なわ ち現況 の3倍 以上 とな る3万 坪程 と推定 している。 浅野 ら(1990)5)は,宮 南池の導水源 を 『三国史記』 に記 され る導水距離 と羅城 や地形 現況か ら判断 して旺浦川 と推定 し,併 せ て現宮南池周辺 の高低測量 に もとついて往時 の池の範囲を推定 し た。 1990年,宮 南池発掘 調査団 によ って宮南 池 に関わ る初 めて の 発掘調査が実施され,宮 南池西岸の一部 が確 認 された6)と され る が,残 念 なが らその報告 は文章のみの記述 で詳細な層位や位 置 ・ 標高 を知 ることはで きない。 つづ く,1991~93年 には,国 立扶 余博物館 によって第2次,第3次 発掘調 査が実施 され,宮 南 池の 往 時の北東岸 と東岸が確 認 された7)と され る。しか し,こ れ につ いて も詳細 な平面図や断面図 を伴 った報告書が刊行 されていない ため,護 岸 の位置や構造 な どにつ いて詳細 を知 ることはで きな い。 その後,1995年 か らは国立扶余文化財 研究所 が発掘調 査 を担 当 し,現 宮南池池底 の調査 をは じめ,現 宮南池 の西隣か ら北 隣に至 る範 囲の発掘が行 われ た8)~11)。 写 真1937年 頃 の 宮 南 池 全 景(朝 鮮 古 蹟 研 究会(1937)3)よ り) 注)写 真 中の 「遺跡」 は軍守里廃寺。手前の池が宮南池であ り, その真 中に黒 く見えるのが 中島

A Historical Consideration on tha Gumnanji of the Bekje Kingdom in Korea Based on the Results of Recent Excavations