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食品素材である分離大豆蛋白と澱粉が共存して加熱糊化したときの物性変化を調べた. さらに, 分離大豆蛋白, 大豆油, 水の乳化ゲルに澱粉を添加して加熱処理したゲルについてもその物性を調べ次のことがわかった.1) 4%澱粉濃度のアミログラムでは, 馬鈴薯澱粉は, 分離大豆蛋白の添加により, 糊化, 膨潤が抑制され粘度は低下した. 一方, コーンスターチでは, その影響が少なかった.2) 澱粉濃度12%の懸濁液を80℃で加熱して調製したゲルでは, 分離大豆蛋白の限定的添加により, 馬鈴薯澱粉のゲル強度は低下したが, コーンスターチでは添加量とともに増加した. しかし, 90℃加熱処理では両澱粉とも同様な傾向で分離大豆蛋白添加に伴いゲル強度は増加した.3) 分離大豆蛋白, 大豆油, 水から構成した乳化物中に澱粉を添加した系 (澱粉濃度約30%) では, 澱粉は乳化ゲルの強度を補強することが認められた. また, コーンスターチ添加乳化ゲルでは, 80℃加熱処理よりも120℃加熱処理ゲルの強度は約10%高い値を示した.4) コーンスターチ添加乳化ゲルの120℃加熱処理ゲルの強度が高くなる現象を調べたところ, コーンスターチ単独の濃度とゲル強度の関係から, 澱粉濃度が25%以上になると, 120℃加熱処理ゲルの強度は80℃加熱処理ゲルよりも高くなることがわかった.また, 顕微鏡観察より, 30%濃度のコーンスターチ単独ゲルおよび乳化ゲルとも, 澱粉粒は120℃処理でも膨潤したまま崩壊せずに残っていた. 以上のことから, 糊化, 膨潤の遅れたコーンスターチが充填材として働き, ゲルを補強するものと推定される. この特性は, レトルト食品などの素材として利用しうる可能性を示唆している.

Effect of food components on physical properties of starch. Part 4. Gel strength of starch on the addition of soy protein and food oil.