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1.は じめに 我が国の電力の供給信頼性は世界的に極めて高い水 準にある。例えば1999年 の我が国における1軒 あた りの年間停電時間は9分 であり主要各国(米,英,仏) の1/6~1/8程 度となっている1)。この高信頼度の電力 供給の動脈が特別高圧架空送電線路(以 下,架 空送電 線 という)で あり,一 般電気事業者10社(北 海道, 東北,東 京,中 部,北 陸,関 西,中 国,四 国,九 州お よび沖縄電力,以 下電力各社という)の 所有する架空 送電線の総亘長は2002年 度末時点で約8万3千km に達 している1)。 架空送電線は,大 気が良好な絶縁体であり,か つそ の移動(風 および対流)に よって高い放熱効果が得ら れるという,言 わば自然の恵みを巧みに利用した電力 輸送設備である。そのため一般に導体には絶縁被覆の ない裸電線が用いられる。また通電によるジュール熱 の冷却設備等も不要である。 反面,架 空送電線は落雷,強 風 氷雪および塩塵な どの様々な自然現象に曝される。架空送電線は重要な ライフラインであり,こ れらの厳しい自然現象が発生 しても極力絶縁を維持し,安 定して電気の輸送機能を 果たすように施設されることが求められる。 中でも,特 に風への配慮は架空送電線の絶縁設計に とって重要である。強風は電線およびそれを支持する がいし連等の風方向への変位(横 振れ)を 生じさせ, 電線とその支持物である鉄塔との接近あるいは電線相 互の接近をもたらす。この際,電 線が大気の絶縁耐力 を超えて過度に接近すると絶縁破壊(フラッシオーバ) が発生し送電不能となる。そのため,各 電線と鉄塔等 との離隔あるいは電線相互の配置はこれらを考慮して 決定されなければならない。 また降湿雪時には風によって運ばれた雪片が電線に 付着する。この際,各 電線の不均一着雪による弛度(た るみの大きさ)の不揃い,あ るいは着雪の脱落による電 線の跳ね上がり現象などが生じると電線相互が接近し, フラッシオーバに至ることがある。さらには着雪により 電線が非対称断面となることで,風の作用とあいまって ギャロッピング現象等を引き起こして,電線相互を接近 させ,や はりフラッシオーバの原因と成り得る。 また日本は海に囲まれてお り,結 果として台風およ び冬季季節風によって海塩粒子が飛来し,が いし連に 付着すると絶縁耐力が低下する。特に台風では雨を伴 わない場合に,強 風によりかなり内陸まで海塩粒子が 運ばれ,急 速汚損となってフラッシオーバとなる可能 性がある。従ってがいし連の設計(連 結個数の決定な ど)に あたっては 海塩粒子の付着量を予測すること が必要となる。 このように架空送電線が自然環境下で安定して電気

Design of Overhead Transmission Line against Wind (Part1 lnsulation Design)