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1.は じめ に カプ セ ル 内 視 鏡 等 を代 表 とす る体 内 に置 かれ る医 療 機 器 は 、 電 池 の みで は電 力 が不 足 す るた め 、何 らか の 方 法 で 体 外 か ら連 続 的 に電 力 供 給 す る方 法 が 求 め られ て いる。ここで は 、体 内 に埋 め 込 む 小 型 医 療 機 器 を対 象 とした 非 接 触 伝 送 システ ムの 開 発 を 行 ってい る。は じめ に、高 効 率 伝 送 を実 現 す るた め に 、送 受 電 用 コイル の設 計 ・試 作 を行 い 、伝 送 に適 した周 波 数 と共 振 方 式 の検 討 を行 った。次 に 、試 作 した送 電 用 コイル か ら発 生 す る電磁 界 が 人 体 に及 ぼす 影 響 を調 べ るた め に、18種 類 の 人 体 組 織 か らなる 人 体 モ デ ル を用 い て 、人 体 組 織 に吸 収 され る単 位 質 量 当 たりの 電 力(SAR:Specific Absorption Rate)を 求 めた。最 後 に、SAR を国 際 非 電 離 放 射 線 防 護 委 員 会(ICNIRP)の ガイドライン1)と 比 較 し、安 全 性 の検 証 を行 った。 2.非 接触 電 力伝 送 シ ス テ ム 非 接 触 電 力 伝 送 シ ステ ム は、 体 外 に置 く送 電 用 コイ ル と体 内 に埋 め込 む 受 電 用 コイ ル か らな る。 送 電 用 コイ ル は 、人 体 腹 部 の 体 表 面 に 腹 巻 き状 に数 回 巻 いた 楕 円形 状 の コイ ル(長 軸40cm,短 軸30cm)と し、受 電 用 コイ ル は シー ト状 の磁 性 体 を ロー ル 状 に1回 巻 い た 上 か らUEW線 を巻 い た 円柱 状 の コイ ル(直 径10mm,長 さ20mm)と した 。 試 作 した送 電 用 コイ ル と受 電 用 コイ ル を図1に 示 す 。 3.方 法 送 電 用 コイ ル に は 直 列 に コ ンデ ンサ を接 続 し、直 列 共 振 回 路 を 形 成 した 。 受 電 用 コイ ル は 、 共 振 用 コ ンデ ンサ を コイ ル と直 列 に 接続 した 場 合 と、 並列 に接 続 した場 合 の2通 りにつ い て 検 討 した 。伝 送 周 波 数 を 変 化 させ 、 伝 送 効 率 が 最 大 に な る周 波 数 を解 析 と実 測2)に よ り求 めた 。 受 電 用 コイ ル で 用 い た磁 性 体 シー トの損 失 とUEW線 の周 波 数 損 失 特 性 を あ ら か じめ 測 定 して お く こ とで 、 伝 送 効 率 を高 い 精 度 で 解 析 で き る よ うに した。ま た 、実 測 に は パ ワー ア ナ ライ ザ(横 河 電 機 、 PZ4000)を 用 い た。 受 電 用 コ イル の 受 電 電 圧 お よび 受 電 電 力 が それ ぞれ3Vお よび30mWと な る よ うに 、送 電 用 コイ ル の入 力 電圧 を 調節 した 。 次 に 、TLM法 を用 い た 電 磁 界 解 析 ソフ ト(Microstripes7.5, AET)に よ りSARを 求 め た。 人 体 モ デ ル に は 、NICTの 日 本 人 男性 の数 値 人 体 モ デル3)を 参 考 に 、18組 織 の 臓器 を 含 む 人体 腹 部 モデ ル を 作成 した。 図2に 試 作 した 人 体 腹 部 モ デ ル を示 す 。 伝 送 周 波 数 、 お よび 、 共振 方 式 は 、 伝 送 効 率 の 実 測 結 果 にお い て 高 い値 を 示 した伝 送 条件 を採 用 した 。 4.結 果 (1)伝 送 効 率 の解析と 実測 伝 送 効 率 の 解 析 お よび 実 測 結 果 を図3に 示す 。直列 共振 の結 果 を実 線 とマ ーカ(■)で 、並列 共 振 の 結 果 を破 線 とマ ー カ(◆)で 示 す 。実 測 結 果 より、直 列 共振 の 600kHzに お い て最 大 効 率(約19%)が 得 られ た。 ( 2)生体 組織 のSARの解析(1)に おい て最 大 効 率 が 得 られ た直 列 共 振 の600kHzの 条 件 にお い て、SARの 解 析 を行 った。 SARの 解 析 結果 を図4に 示す 。SARは 、図4のXの 部 分(臓 器 は 筋)で 最 大 値 を得 、臓 器 ごとの結 果 で はSARが 高 い 順 に 、筋 、 大 腸 、脂 肪 、皮 膚 、血 液 、骨 、膀 胱 、膵 臓 、小 腸 であった。 5.考 察 図3よ り伝 送効 率 の実 測 結 果 は 、解 析 結 果 と近 い 値 を示 してお り、解 析 が正 しく行 えてい ることがわ かる。600kHz以 上 にお い て は共 振 用 コンデ ンサ の 端 子 電 圧 が大 きくなること(>5kV)、 浮 遊 容 量 による影 響 が大 きくな り伝 送 安 定 性 が低 下 す る等 の理 由か ら 実 験 を 中止 してい る。 また 、直 列 共 振600kHzに お けるSARの 解 析 結 果 にお い ては 、 送 電 用 コイル に最 も近 い 部 位(皮 膚 に相 当)で は なく、2~5mm 体 内 深 部 に入 った部 位(筋(図4のX))に お いて最 大値 を示 した。 この理 由 は 、筋 の 導 電 率 が 皮膚 に比 べ 高 いことが 原 因 と考 えられ る。さらに、ICNIRPの ガイドラインの 値(2W/kg)と 比 較 した ところ、 SARの 値 は4.6mW/kg程 度 で あり規 制 値 を十 分 に下 回 って いる ことを確 認 した。 6.ま とめ 体 内 に埋 め 込 ん だ 医 療 機 器 を対 象 とした 非 接 触 伝 送 システ ム を設 計 ・試 作 し、伝 送 効 率 約19%を 実 測 で確 認 した。また、詳 細 な人 体 モ デル を用 い たSARの 解 析 を行 い 、この値 がICNIRPの 規 制 値 以 下 で あることを確 認 した 。今 後 は 、コイル 配 置 を 変 えた 場合 につ い てもSAR解 析 を行 う予 定で ある。

Design of a prototype non-contact energy transmission system for implantable medical devices and the SAR analysis of the human tissues