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今世紀に入ったころから,“ユビキタス”や “センサネッ トワーク”という言葉が盛んに使われるようにな った。実 は,エ レク トロニクス実装学会においても,セ ンサネ ット ワーク用のマイクロシステムデバイスの実現に向けて調査 研究を行 うことを主たる目的の1つ として,マ イクロメカ トロニクス実装技術委員会が立ち上 げられたのもちょうど 同 じ頃である。今か ら思 い返 してみると,委 員会発足当 時,委 員会幹事を していた筆者 自身は,「 ユビキタスセン サネ ットワーク技術」 というものの意味や可能性と言 った ものを十分に理解 していたとは言い難か ったが,特 に本稿 で紹介するJSTの 戦略的創造研究推進事業(CREST)の プロ ジェク ト1)の企画立案などを通 して,非 常に大きな可能性 を持 った技術であることを改めて確信するようにな った。 また,こ こ数年,ZigBee規 格の登場もあって,実 験用端末 の小型化 ・高性能化が年 々進んでおり,実 装技術やMEMS 技術の貢献 によって実用化への進展が期待 され るように なったと感 じている。上記のCRESTの プロジェク トは,開 始から1年 も経ておらず,残 念ながら,実 装技術やMEMS 技術の分野で紹介できる内容はないが,本 稿ではプロジェ クトのコンセプ トを中心に紹介 したいと思う。 ところで,「 ユビキタスセンサネ ットワーク技術」 とは 何か?に ついては,こ こで私見を述べ るよりも,多 数の書 物が出ているのでそれ らを参照 される方が良いと思 うが, 例えば総務省の研究会報告2)には,国 内外の研究開発動向 などの調査 ・分析結果,ユ ビキタスセンサネ ットワークに 求められる機能やその実現に向けた推進方策などについて の検討結果がよくまとめられている。 この報告書 によれば, ユ ビキタスセ ンサネッ トワーク技術 とは,“ 人 ・モノの状 況やそれらの周辺環境など,さ まざまな状況 ・環境を自動 認識 し,自 律的な情報流通に基づいて最適な動作を実現す る”技術である。技術課題は,“ 置 くだけで繋がる”たあ の無線ア ドホックネッ トワークをは じめとしたネ ットワー ク技術など多 くの課題があるが,筆 者 自身は,無 線セ ンサ 端末の課題ということになれば,端 末の低消費電力化に尽 きると言って も過言ではないと考えている。第一に,ユ ビ キタスセ ンサ端末は多 くの場合小さくかつメンテナンスフ リーである必要があるか らであるが,も う1つ の視点とし て,ユ ビキタスセンサの消費電力 も “塵 も積 もれば山”と なるのであるか ら,省 エネ ・地球温暖化の観点からも将来 大量に環境 に存在するようになることが期待されている端 末の低消費電力化は本質的に重要である。 筆者の知 る限 り,世 界で最 も小 さな無線センサ端末は, ドイツのフラウ ンフォファーマイクロ実装研究所(Fraunhofer-IZM)が 開発 したeGrain3)と 呼ばれる試作端末である。 本稿で紹介するアニマルウォッチセ ンサネッ トのプロジェ ク トのコンセプ トも,こ のeGrainプ ロジェク トのそれを意 識 したものであるし,ま たアニマルウォッチ端末実現に向 け共同研究についても検討を行 っているところである。 こ のeGrainの 開発責任者と意見交換 した折,彼 は,端 末の小 型化は当然大 きな反響があ ったが,い ざ実用化 となると “帯に短 し襷に長 し”というところがあり ,結 局アプリケー ションを設定 して端末開発 しないと,実 用化を含めて次の ステ ップへ進むことは難 しいというようなことを述べてい た。実際,ど のようなデータをどの程度の精度 ・頻度で取 得するかを決めない限り端末の設計はできないし,そ れを 決めるにはアプ リケーションの設定が不可欠である。上で 紹介 した総務省の報告書には実にさまざまなアプ リケー シ ョンが例示 されており,そ の中でも最も期待が寄せ られ ているのが,本 稿のテーマでもある健康(管 理)分 野ある いは医療分野である。実際,こ の2~3年 の間に,多 くの試 作端末 ・実験用端末が発表 されているが,そ れ らのメイン ターゲ ットもまた直接 ・間接 に人に装着 して,健 康管理や 経過観察を行 うようなイメージのようである。 本稿では,あ る意味人よりも難 しい鶏に装着 して,養 鶏 場内の鶏集団の健康管理を行 うセ ンサネッ トワークについ て紹介する。

An Application of Technologies for Safe and Secure Society to Human Health Development of Animal Watch Sensor Network