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現在日本では高齢化が急速に進み、それに伴っ て高齢者の転倒による事故が増加している。高齢 者の転倒事故は骨折や廃用症候群を引き起こす可 能性があるばかりでなく、時として死につながる こともある。そのため、高齢者の転倒防止は今後 さらに必要不可欠になると考えられる。 転倒の原因は、内的要因と外的要因の二つに大 別することができる。転倒はこれらの要因が絡み 合って起こっているが、身体能力の低下した高齢 者では内的要因による転倒が多くなる。高齢者の 転倒の内的要因の一つとしてバランス能力の低下 が挙げられる。人のバランス能力は加齢によって 低下し、高齢者はそのバランス能力の低下に対し て、歩行中においては小股、すり足を特徴とした 老人性歩行を行うことで安定性を保っている。 しかし、この老人性歩行によるつま先の挙上高の 減少が、つまずきによる転倒のリスクを高めてい る。さらに高齢者の転倒の多くは自宅で発生して いるため、住宅内での転倒防止が重要である。 住宅内では床材、履物、段差、障害物および照 明などが転倒の外的要因になり得る。転倒が多く 発生する歩行時、床材は身体を支持する役割を 担っている。さらに日本では住宅内で靴を脱ぎ、 裸足または靴下を履いた状態で生活するため、歩 行時に足部がほぼ直接床材と接する。これらのこ とから床材は他の要因と比較して転倒と大きく関 わっていることが予想される。 床材によって異なる性質が高齢者の歩行に与え る影響を明らかにすることは、高齢者の転倒防止 にとって有用であると考えられる。そこで本研究 では、日本の住宅で多く用いられている3つの床 材(フローリング、カーペット、畳)を対象とし、 床材の違いが高齢者の歩行動作に与える影響を明 らかにすることを目的とした。 2.実験方法

2C1-2 Effects of Different Flooring Materials on the Walking Motion of the Elderly