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人工照明は私たちに夜間の活動を可能にするな ど、我々の生活の効率化や快適化に貢献してきた。 しかし、近年、夜間の光曝露がメラトニン分泌を 抑制し、概日リズムと生活リズムの乖離を引き起 し、これらが長期化すると睡眠障害や癌といった 健康リスクも高める可能性が報告されている。現 代社会において、人工照明は必要不可欠な存在と なっており、夜間の光に曝されない環境を作るこ とは困難である。そのため、より快適で健康的な 照明環境を演出するためには生体への作用が弱い 人工照明を検討する必要がある。 メラトニン分泌抑制は、主に新規の光受容器で あるメラノプシン含有網膜神経節細胞(mRGC)が光 を感受することで生じる。mRGCは可視光の青色短 波長光(約460nm)で大きく作用することが知ら れている。また、錐体細胞や桿体細胞といった 従来の光受容器とは光に対する反応の時間特性が 異なることが示唆されている。従来の視細胞で ある桿体細胞や錐体細胞は光刺激を提示した後の 反応潜時が比較的短く、消灯後も即座に反応を終 えるのに対し、mRGCは光点灯時に比較的長い潜時 をもち、光消灯後もその反応が持続することが報 告されている。 近年普及が進んでいるLED照明に注目すると、 その調光方式は、定常光方式とパルス光(PWM)方 式で大別される。パルス光方式は高速点滅するこ とで調光する方式であり、点滅1サイクルにおけ る点灯の割合、デューティ比によって調整される (図1)。パルス光方式は高速点滅することで調光 するため、1回の点灯時間が短いことが特徴とし て挙げられる。この調光方式点灯時間の長さの差 は、mRGCの反応特性により夜間の光曝露によるメ ラトニン分泌抑制の作用に差を生じさせる可能性 が考えられる。 我々の先行研究より、単位時間当たりの光量 が同程度の定常光とパルス光では、光提示直後に おいて、パルス光と定常光でメラトニン分泌抑制 作用が異なることを報告した。mRGCの光に対す る反応は、その光の強度に係ることが報告されて いることから、先行研究より弱い強度の光では、 定常光とパルス光によるメラトニン分泌抑制作用 がより長く持続すると推察される。そこで本研究 では、先行研究より低い強度の定常光とパルス光 によるメラトニン分泌抑制を検討した。

1C4-1 Effects of Flicker and Non-flicker Light on Melatonin Secretion