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1.は じめ に 物理的刺激とそれに対する心理的応答との関連 性を定量化しようとするとき、物理的入力-心 理 的出力といった主観量の出現する非決定論的なあ いまいシステムを取 り扱 うことにな る。この特徴 は特に人間の感覚量を取 り扱 う場合には顕著と なる。我々はこれまで、人間の心理的判断結果に は不可避的にあいまい性が内在しているとの立場 から、このあいまい性をメンバシップ関数を用い てモデル化し、物理的刺激に対する心理的応答に どのようなあいまいさが存在しているかについて 考察してきた1,2)。 一般に、メンバシップ関数の 設定方法はファジィ評定法と非ファジィ評定法に 2大 別され るが3)、我 々は後者の手法を用いてい た。具体的には、心理的印象の メンバシップ関数 を心理実験による実測データから求めた頻度分布 を用いて設定していた。この場合、心理的印象の 頻度分布を形成するに足るかな り多 くの実測デー タの採取が前提となる。視覚や聴覚等の感覚器官 を用いる心理実験の場合には物理刺激による被験 者へのアフターエフェクトが小さく、ある程度繰 り返 し実験可能であるが、味覚 ・嗅覚や温熱刺激 に対する感覚器官を用いる実験の場合には上記の アフターエフェク トが大き くなる。したが って、 繰 り返し実験が容易にできなくな り、データの蓄 積が極めて困難となる。本報告では、小標本デー タからメンバシップ関数を設定するための一方法 を提案し、具体的データに適用することによりそ の妥当性について検討する。

A method for establishing membership functions of psychological impressions to thermal stimulus