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酵 素は動,植 物 あるい は微生物な どの生物体 によって 生成 されるタンパ ク質 を本体 とす る生体内触 媒であ り, 生 体内で起 こる多 くの反応 に関与 してい る。近年,こ の 酵 素の研究 が進むにつれ,従 来 の有機合成化学的方 法で はむずか しい反応 に酵素 を触媒 と して用い よ うとす る試 みが盛んに行なわれ るよ うになってきた。 この酵素の触 媒 としての特徴は緩 和な条件下 で反応 を遂行 させ,あ る 特定物質のみに特 定の化 学変化 を与える高い特異性 を有 してい ることで ある。すなわち,酵 素 は複雑 な系 の中で 他の物質 に何の変化 も与え ることな く目的 とする反応 を 進 行 させ ることがで きる。 また,酵 素は物理 的,化 学的 に激 しい条件下 では不安定 であるが,常 温,常 圧 の生理 的条件下 で十 分 目的 を達す ることがで きる。 しか し,こ の酵素 も我 々が触媒 と して利用す る立場か ら見 ると,先 にのべ た特徴 が欠点 となる場合があ り,必 ず しも満足 すべき ものではない。す なわ ち,酵 素 はタン パ ク質特有の性 質を もち,高 圧,高 熱,強 アル カ リ,強 酸,有 機溶媒な どに不安定であ るこ とはもちろん,反 応 を行 な うのに適 した条 件下 で も比較 的早 く失活 し,反 応 時 間の経過 とともに反応速度 が低下 するとい う欠点 を有 してい る。 また,一 般 に酵 素反応 は水溶液 の状態 で行 な わ れてい るが,こ の場合は反応終 了液 よ り目的 とする物 質 を取 り出す ためには反応液中に酵素活性を もった酵 素 が残存 してい ても一回 の使用のみで変性 除去 しな ければ な らない 。 そ こで酵素 を改変 して,酵 素の特性 を生か し,さ らに 利用に適 した ものに改めよ うとする試みが行 なわれ,そ の一つ の手段 として酵素の固定化が広 く検討 され るよ う になってきた。 酵素 は上述の よ うに,全 ての生物 によって生成 され る が,利 用 の面か ら考え ると,微 生物 の酵素が最 も経済的 であ り,多 種類の ものが大量に得 られる とい う利点が あ る。 微生物 の酵素 には細胞内に保 持 される菌体 内酵素 と, 細胞外 に分泌 され る菌体外酵素の2種 類がある。前者 の 菌体 内酵 素を利用す る場合 には,な ん らかの方 法で細胞 内 よ り酵 素を抽 出,分 離 する操作が必要 とな る。また, この よ うな菌体 内酵 素は菌体外 に取 り出す と不安定 にな る場合があ る。そ こで このよ うな手 間を省 き,欠 点 を解 消す るために微生物をそのまま固定化 して固体触媒 と し て取 り扱お うとす る研究 も行なわれ始 めてきた。 なお,固 定化酵素 とい う呼び方 は “imrnobilized enzyme"に 相当す る目本語 訳であ り,こ の呼称 は1971年 米 国で行なわれ た"Enzyme Engineering"の 会議で決め られたものである。それ までは,"不 溶性酵素"-"waterinsoluble enzyme"と 呼 ばれ ることが多か った。

Utilization of Immobilized Enzymes and Immobilized Microbial Cells